デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


チャレンジの日曜日
 
あのCMのあの場所に行く


最後はジャパネットたかたの電子辞書のCMです。

イラスト:べつやくれい

ジャパネットたかたのCM。都会に出てきた男に母から手紙が届く。手紙の内容は激励かと思いきや「あなた、このまえ若干(じゃっかん)を“わかせん”と読みましたね。母は恥をかきました。」といきなり母のダメだしが始まる。その後も河童の川流れは楽しそうに遊ぶ様子のことではありません。など息子の学のなさをなげく内容だった。「ジャパネットたかたの電子辞書買いなさい」と繰り返す母。ひたすら手紙の文面に目を落とす息子……。
放送は深夜が多かったと思うんですが、インパクトがあるので知名度は高いと思われます。知らない人は、知ってる人に聞いてみて。


押上駅で降りる。

この日は陰鬱な映画に使えそうなほどの曇天です。

無数にある路地を一個づつチェックしていく。これはかなりの時間がかかりそうだ。

ロケ地があったとうわさされる墨田区向島へ。

最後はちょっと難題です。ジャパネットのCMは民家の中の狭い路地裏で撮影されたためかなり捜索に時間がかかりそうだ。

とりあえず向島に向かうと、向島という地名はかなり広い場所を指していることに気づいた。向島ってことがわかればなんとか見つけられると鷹をくくっていたが、ひょっとしたら見つからないかもしれない。とりあえず1丁目から順番に潰していくことにした。これはかなり時間のかかる作業だ。

しかもこの日は午後から雨が降ると予報されていた。僕の頭上には今にも雨粒を落っことしてきそうな雨雲。そして何もない住宅街。若手の日本人映画監督が陰鬱な映画の撮影のためにロケでやってきそうな雰囲気です。ジャパネットの青年もこの街でこの曇天を見上げたのだろうか。まったく知らないのに、なんだか少年のことがすごく気になってしまう。電子辞書買って少しは学がついていればいいのだが。

知らない街で、あるひとつの路地裏を見つけだすのは、米粒を一粒づつ数えていくような途方もない作業だ。CMの写真を参考にうろうろする。CMの画面から推測するに、どうやらロケ地は古い建物が密集する地区ではないか。こういった何もない街の場合は川に近いほうが古い住宅が多い。国道沿いも新しい建物が多いので違うだろう。ならばこのあたりが怪しいか。と、さまざまな街を渡り歩いてきた地理男の勘を働かせる。
さながら気分は探偵だ。少年よ、どこへ行ったんだ。



しっかし、本当に何もないなー。
雰囲気のある豆腐屋。古い建物が増えてきた。
まさに、路頭に迷うとはこのことだ。少年に教えてやりたい。
こういう写真ばっかり集めた写真集って洋書屋とかにいったらありますよね。
少年、どこへ消えた。僕はなんだか寂しくなってきたぞ。
お、なんか風流な建物。近づいているはずだ。

うん? この黒い壁は、ひょっとして! いや、ちょっとだけ違う。

このあたりは料亭が多い。

ん? この黒い壁の奥行き、道幅の狭さ。

次第に浮かび上がるジャパネット少年のサイドストーリー。

この黒壁! ここだ。と思いきや何かが違う。なんていうか、もうちょっと道が狭かったはずなのだ。あと、黒い壁ももっと向こうのほうまであった気がする。もうウソをついてここがロケ地です、といってやろうかと何度か思ったのですが、ジャパネット少年のためにもウソはつけない。もう僕と少年は心の中では親友なのだ。

この黒壁の建物は珍しいな、と見てみると「料亭 ○○」と記されていた。しばらく歩くと向島の、この近辺は料亭や割烹といった看板が多いことに気づいた。どうやらCMのロケ地の黒い壁は料亭の壁なのだろう。そういえば少年は板前のような格好をしている。CMを何度も細かくチェックすると、少年が手に持っていた青いざるはあさりのようなものが入っている。

少年は田舎からでてきて、向島の料亭で料理人修行をしていたんだ。なんだかたかがCMのことなのに目頭が熱くなってきた。あの少年にはそんなサイドストーリーがあったとは。彼は修行中なんだ。若干がよめなくったっていいじゃないか。親方に怒られながらがんばってるんだ、少年は。

そして、ついに…


ついに発見!

ここだ。何度見返しても間違いない。ただ、残念ながら少年が働く料亭の横の建物は残念ながら工事中になってしまっていました。完璧なCMの再現はできないもののついに僕は少年を捕らえたのだ。
雨が降ってきたのでさっそく撮影の準備に取り掛かる。


手紙を読んで撮影。割烹着はなかったし、手紙もただのルーズリーフだが、なんだか風流な一枚になりました。これはこれでいいのでは、と思います。
修行中の少年を思うと泣けてきた向島の雨の路地裏にて、リポートを終わります。


少年が持っていたあさりの代わりに用意しプッチョチョコレート×3本

ジャパネットたかたのCMで少年が座り込みながら手紙を読んでいた場所

東京都墨田区向島5丁目

CMロケ地を4つまわってみました。思い返せば最初の頃の僕はアコムレディを探しに行った下心満載のよどんだ心の持ち主だったんですが、最後のジャパネットでは、完全に心が洗われてなんだか小さな感動すら覚えてしまいました。たかがCM、されどCM。一瞬だからこそ、ロケ地を発見したときの喜びもひとしおである。あなたも、よかったら



 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.