訓練海域まで30分
僕らを乗せた巡視船やしまは東京湾沖の訓練海域に向かう。陸地ではそれほどでもなかった日差しと風が強い。東京湾とはいえ海だ。特に風はすごい。
「あ、そうだ。この前、『時速何キロの車から手を出すと風がおっぱいの感触になるか』がデイリーポータルっぽい企画だといっていた人がいて」
「面白いけど、デイリーポータルで『おっぱい』なんて書いたことないですからね」
「そうですよね、僕らやりませんよね」
でもふたりとも風上に向かって手のひらを向けている。
「デイリーはリリカルですからね……、あ、すこしおっぱいだ」
「あ?お!たしかに。でもほら、走ってる車から手を出すなんて危ないですし」
「ええ、まねしたら危険なことはまずいですよね。(風に向かって手をもみもみする) もっと風つよくならないかなあ。」
「あ、けっこういい感じです!」
「おお!」
「わあ!」
報道の腕章をつけて幻のおっぱいを探す。
やがて訓練海域に入り、色とりどりの放水や艦船のパレードがはじまった。今年の「海上保安庁 観閲式および総合訓練」の始まりだ。
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