富山県内を東西に走る国道8号線沿いに、ロシア向けの中古車を販売するお店が点在している。ロシア人の中古車ディーラーが買い付けにやって来て、めぼしい車を仕入れていくらしい。価格帯は30万円以下がほとんどで、中には300ドルで売られている車もあるという。
一体、どんな車が売られているのだろうか? その実態を調べるため、富山県に向かった。
(text by 住正徳)
富山県の国道8号線沿いの中古車屋を探す
富山空港からレンタカーで国道41号線を北上し、20分ほど走ると国道8号線にぶつかった。金泉寺という交差点を左折して、西へ。高岡方面に向かう。
借りた車には最新のカーナビが付いていたが、ロシア向け中古車屋は画面に表示されない。 カーナビには頼れない。 とにかく8号線沿いを走り、中古車屋を見つけるしかない。
この日、富山県内には大雨・洪水・雷注意報が出されていて、視界はすこぶる悪く、助手席に座る林さんが中古車屋の看板を探し、僕は運転に集中することにした。
しばらく走るがそれらしき看板は見当たらず、雨は強くなる一方だ。 本当にそんなお店があるのか、不安になっていく。
林「あっ!」 住「えっ? ありました?」
アクセルの踏み込みを緩め、車のスピードを落とす。 振り返って中古車屋の看板を探してみる。
住「どこですか?」 林「いや……あれ……」 カシャッ!
林「日本一とか、世界一とか、って言っちゃうと色々問題があるらしいんですけど、宇宙一だったらどこからも文句言われないそうなんですよ」 住「NASAからも?」 林「ええ、多分」 住「へぇー。便利な言葉ですね、宇宙一」
だったらデイリーポータルZも宇宙一面白い、って事にしちゃいましょう。 そうしましょう、そうしましょう。
後ろの車からあおられ再び加速。更に西へ向かう。
住「あっ!林さん、カーナビに林さんが」 林「あっ、本当だ!」 カシャッ!
林「富山県には林って名字が多いみたいなんですよ」 住「へえー」 林「林っていう駅もあるんです」 住「へぇー。富山に詳しいですね」 林「ええ、実は父方の祖父の生家が富山だったらしく」 住「えっ? ってことは富山に林家のルーツがある、と」 林「ええ。でも、富山に来たのは今日が初めてなんですけどね」 住「えっ? ルーツなのに?」 林「ええ」
8号線に入ってから10キロ以上走り高岡の手前まで来た。 その間、対向車線側に10数軒の中古車屋を見つけていたのでUターンすることにした。
雨はまだまだ降り続いている。 午後の3時前だというのに、空はすっかり暗い。