純喫茶は落ち着く。仕事の途中にフラッと入って遅いランチを食べてコーヒーをすすり、スポーツ新聞を読む。そんな至福のひとときを味わえる喫茶店を探します。これぞ純喫茶!という喫茶店があったら行きつけにしてしまおう。 そんなスローなひとときを、どうぞ。
(text by 住正徳)
東武東上線沿線で純喫茶を探す
東武東上線の某駅で下車。駅前から左右に広がる商店街を右に、純喫茶を目指して歩く。 「あそこには2軒ほど純喫茶があるよ」 商店街のそばで育ったという友人からそう聞いていた。
純喫茶の条件として僕がこだわりたいのは
友人から聞いていた通りの道を行き、5分もすると一軒目の純喫茶が見つかった。 ショーウインドウにメニューのサンプルがディスプレイされている。
アイスティーにはレモンのみ、カレーライスのライスがカビている。 そして店名は「喫茶・玻璃愛奴(ハリウッド)」。 これはかなり期待出来そうだ。
重厚な木製の扉を押して店内へ。カランカラン、という音はしない。 純喫茶度が少し薄れるが、席に着くとテーブルは麻雀ゲーム機、しかも壊れている。
カランカラン無しでもこのテーブルで僕は十分満足だった。 周りを見渡すと昼下がりの時間を持て余す大人たちの姿が見える。
純喫茶特有の空気感。
時間は15時をまわっていたが、ランチメニューは余裕で注文出来る。チキンカレーとドライカレー、それにエビピラフの3品からチョイス可能だ。
僕はエビピラフを頼み、食後にブルーマウンテンをもらう事にした。
油の量が多めだが、これでいい。純喫茶の食事は量が少なめなので、油が多くないと満腹感を得られないのだ。 食後のブルーマウンテンをテーブルに運んでもらうようオバサンに頼んでから、僕はトイレに立った。
トイレは男女共用で和式。 ここまで、この喫茶・玻璃愛奴は扉のカランカラン以外、ほとんどの純喫茶度をクリアしている。 僕は強い満足感に包まれながら、手を洗う。
「ん?」 鏡に何かが写っている。
ハンカチで手を拭きながら、鏡に写っていたものを確認した。