日が暮れる前に、ラストトライ
少し休んで肩と肘の痛みもおさまってきた。 再びカーブに挑む。
「もっとシュっていうリリースでギュッって曲げる感じで」
高野君のアドバイスが段々長嶋さんの様になってくる。 つまりカーブは理論ではなく感覚なのだ。多分。
黙々と投げ込む。 そしてボールがミットに届くまでの間「曲がれ!」と念じる。 僕はユリゲラーか?
投げ込むうち、人さし指と中指の感覚が徐々に分かってきて、手首のひねりにも慣れた。 ん?何となく曲がった様に見える。 パチンッ、と相変わらずミットをならす音は情けないが、曲がっているのでは?
「どうですか?曲がってます?」 「ええ、何か曲がってきました!!」
「本当ですか?」 「ええ!曲がってます」
高野君ほどの曲がりには達していないが、明らかに最初から比べると曲がっている。
ついに僕のカーブが曲がった。 中でも「これは曲がった!」という投球をピックアップしたので、その映像をどうぞ!
どうだろうか、この曲がり具合。最後の球にいたっては曲がり過ぎて高野君もボールを捕れていない。
そして、僕はこのカーブを武器に最後のマウンドに向かう。