小さい頃、シラスが大好きだった。 白いところが好きだった(ちなみにヒジキは黒いので嫌いであった)。ごはんにかけて食べる。ほんのり塩のきいた、やさしい魚の味。シンプルでしみじみした味。
茶わんをじっと見ると、小さい魚に混ざって、他の生き物を見つけることも出来た。 「そういや最近、シラス食べてないなあ……しかし、あの混ざってたやつは、一体なんだったんだろう?」
久々にシラスを買って、中の生き物をじっと見てみることにした。
(text by 大塚幸代)
シラスの正体
シラスは、カタクチイワシのかえったばかりの稚魚だそうだ。
イワシ……あの青い魚の稚魚が、この真っ白な小魚だなんて。知らなかった。
海岸近くに群れを作って泳いでいて、生きてる時の体は透明。ゆでると白くなる。
これを網でとった時、同じ場所で育っている他の生き物が混ざっちゃうというわけだ。
つまり、「その近辺に住んでる魚類の赤ちゃん」が混ざるわけで、場所によって混ざる生き物の種類も違ってくるはずだ。
私はスーパーをまわってみて、産地の違うシラスを何種かゲット。 お皿にシラスを広げて、「他の生き物」たちを探してみた。
●高知産
四国はしらすの産地。 私の親も四国出身だが、ママカリとかジャコとか、やたら「小さい魚」を好む傾向がある気がする。 高知には「釜揚げ」(シラスを茹でて、乾燥させないもの)や「どろめ」(生のシラスを酢でしめたもの)など名物がある。
私が中野のスーパーで買った高知産「しらす」は100グラム98円。白くてきれいで、塩味も薄目で上品だった。
生き物をさがす。 ……うすピンクのエビがいた。大きなエビと、ほぼ変わらない形だ。