外でごはんを食べるとき、メニューで選ぶ。写真が載っているメニューもあるが、多くは文字だけだ。料理は味や匂い、見た目で選ぶ前に文字で選ばれているのだ。
料理は文字で楽しむものである。
以前から「おいしそうな文字」というものがあるのでは?と考えていたのだが、今回、おそい夏休みで沖縄を訪れ、その存在を確信した。「おいしそう書道」とも言うべき姿の輪郭が見えてきた。これまでの考察の結果を発表したい。(text by 林 雄司)
おいしそうな文字とはなんなのか
このふたつのメニューを見ていただきたい。右のほうがぐっとこないだろうか。左は写真つきで情報が多いにもかかわらず、右の力強い「おでん・やぎ汁」の文字のほうがおいしそうに思える。きっとなんかほっこりしておいしいものに違いない。そんな想像力をかきたてるこの文字力。
なんだかわかんないけどおいしそう、が「おいしそうな文字」の魅力である。
しかしここまでくずすとちょっと片岡鶴太郎さんのようだ。↓
作為的なものを感じるとおいしさが薄れる。料理のまずさをごまかすために照明を落としている和風ダイニングバーのようだ。
技におぼれることなかれ。まずは僕があつめた「おいしそうな文字」コレクションを次ページから一気に紹介します。