客層は主にサラリーマン風な男性たちで、誰もみんな迷わない。お店に入る前から注文する品を決めているようだ。
そりゃあ、そうだよなあ、みんな大人だもんなあ…。難しい商談とかこなして外国人と握手したりしてるんだろうし、そんな忙しい人たちがカレーうどんの匂いに誘われたりする訳ないよなあ……。
と、その時、おばちゃん2人組が戦場の様な店内に迷いこんで来た。
これはチャンスだ!
注文カウンターの前で何にしようか迷うおばちゃんたちの背後にカレーうどんを近付ける。
ほらっ、ほらっ、この匂い。
「んー、どうしようからしら…」
ほらっ、ほらっ!
「あっさりしたのが、いいわね」
「そうね、そうね」
結局おばちゃんたちはおろしうどんに。何だよ、おろしかよ。
おばちゃんたちの決断にがっかりしていたら、
「カレーうどん」
と不意におじさんの声。
おおっ、ついにカレーうどんの注文が入った。
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