苦労があるから光ってみえる
八丈島でもそうだったのだが、やはり光るものを見るまでの道のりの大変さ(会社にキノコ見たさに出張申請をすることを含め)、がいっそうひかって見せるのだと思う。
見るまでの労苦と輝きは比例するのだ。
今回、ひかるコケの観察場所は吉見百穴。埼玉県吉見町の遺跡である。古墳時代後期の群集墳墓。穴のひとつひとつが古代の人のお墓なのだ。
お墓であることがわかる前には、先住民族のコロボックル人の住居という説があったという。
キャッチーな説なのでパンフレットにはその説の紹介がことごとく載っている。アイヌの伝説に登場する背が低い原住民族、コロボックル。
確かにお墓よりもここに小さい人がたくさん住んでいたと思うほうがわくわくする。明治時代の学説は派手なもの(キリストが青森で死んだとか)が多い気がするが専門ではないのでよくわからない。
以前勤めていた会社で、嫌いな上司をコロボックルと言っていたことを思い出す。
光るコケはどこだ?あ、あった。
光るコケはこのなかのふたつの穴に自生している。穴は219個もあるのでどうやって探そうか、ひとつひとつ見てゆくしかないか、やっぱり光る植物にはそうそう簡単には会うことはできない。
と思ったら看板が出ていた。親切な。
入り口から看板のところまで約10メートル。
すぐに到着してしまった。この容易さはなんだ?
本当にひかっているのだろうか。にわかには信じられないカジュアルさである。
金網の隙間から覗いてみる。
ひかってる。
もう見つけてしまった。
うれしいんだけど、ちょっと困る。気持ちの準備ができていない。
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