行くぜ、外人男性ヌードショー。

「某有名観光バスで、夜の東京ツアーがあるの。潜入取材、行ってくれないかしら？」
ニフティ林さんがオネエ言葉で電話をしてきたので、ビビってしまった。「なななんなんですか、そのノリは………会社で嫌なことでもあったんですか？」
「イヤだわ〜なんとなくよっ。で、ツアーの行き先はJmensね。外人男性ヌードダンスショーよっ。アタシも同行するから。男性向けバスツアーでゲイバーの取材も同行したんだけど、アタシ、こっちのほうも行ってみたいのよね〜」
「え？　は？　あの、私、ムキムキの外人のヌードなんて、まったく興味なくて………どっちかっていうと、こう軟弱な……ホリケンみたいな………」
「うるさいわねえアンタの好みなんてどうでもいいのよっ。Jmensツアー、申し込んでおいてちょうだい。じゃあネっ」
そんなわけで、おネエ言葉の林さんといっしょに、Jmensツアーに行ってまいりました。マジかよ！

12月某日（平日）18：00　東京駅　バス乗り場

「林さん、なんか人数少ないですね………」
「そうねえ。平日のツアーだから、こんなもんかしら」
「ひいふうみい……９人かあ。みんな地味目の30代ＯＬ＆主婦って感じですね」
「あら、あんたも相当地味よ〜」
「まあそうですけど。きょう、ホテルのバイキングが付いてるってきいて、昼ごはん抜いてきちゃいましたよ」
「あらやだ、アタシ立ち食いソバ食べてきちゃった」
「ちゃんと言ったじゃないですかあ。でもお台場観光付いてるんですね。すげえおなかすきましたよ。ちゃっちゃとバイキングに行ってくれないかなあ……」
「でも楽しいじゃない、観光。こういう高い位置から見る東京は、なんか新鮮じゃない〜」
「ほんと、やたら椅子の位置が高いですね。２階だてバスの上かっていうくらい高い。空港のリムジンバスみたい」
「高いところって、気分がいいわあ〜」
「あっ………いま、羽田行きのリムジンバス、隣を通りましたね。こっちのほうが高い」
「リムジンバス、みんな寝てるわあ………スーツ着ちゃって、企業戦士って大変ねえ」
「……林さんだって企業戦士でしょうが」
「きゃー海底トンネルよお〜。トンネル萌え〜」

「トンネル………楽しいですか？」
「すごく〜！」
「まあ、いいですけどね……ああ、おなかすいた。フジテレビとか近くで見ても、嬉しくないしなあ………」
「あら、外人観光客の気持ちになってみれば、けっこう楽しいわよ」
「でも私、都内在住の日本人だし……んあ、牛」
「ほんとだ、牛。牛を大量に積んでる車だわ……」
「これ、どこに連れて行くんですかね？」

「もちろん、食肉加工するところよ、品川の」
「ああ。つぶらな瞳ですねえ」
「今晩、肉になるのね、このコたち」
「リアルなドナドナですね」
「………」
「………」
「………あ、ホテルついたわよ」