甘酒嫌い
人が「おいしい」と食べてるものに、文句を言いたくない。それがイヌでもクジラでもイナゴでも、人がよかれと思ってワシワシゴクゴク摂取してる食の文化に、何か言うのはかっこ悪いと思う。
しかし、ぶっちゃけ白状すると、
わたくしは、甘酒が………嫌いだ。
なんとなくあの風味が嫌だ。ひと口も飲めないわけじゃないけれど、湯のみ3分の1が限度。それ以上飲むとオエッとなる。
小さい頃から飲めなかった。甘酒は兄の好物だったので、母がしょっちゅう作っていた。そして作るたびに「お前も飲め」と出されたのだが、いつも3口程度でギブアップしていた。
嫌いだと言ってるのに、毎回すすめられる苦痛。「今度こそは飲めるかしら」と口をつけてみても、やはりダメ。「母親って娘よりも息子のほうが好きなんだよなあ、だからこういうことするんだ、ムキー」とか、甘酒ごときで腹をたてていた。辛い日々だった。
しかし味覚は年令とともに変わる。
大人になって、昔は嫌いだったシオカラもヒジキも漬け物も、美味しく感じるようになった。もしかして甘酒も飲めるかもしれない。
そうだ、有名な店で美味しい甘酒を飲んだら、目からウロコが落ちるかもしれない。甘酒観が変わるかもしれない。ショック療法だ。甘酒有名店めぐりだ!
さっそく私はネットを検索して、東京でいちばん有名な店を見つけた。くそう飲んでやる! 好きになってやるともさ! ムキー!
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