としまえんをたずねて
「ぼく、昔この近所に住んでいたので、自転車で毎日としまえんの前を通ってたんですよ。としまえんに、練馬に温泉なんて、信じられないなあ」
としまえんの入り口で、ニフティの林さんはそう言った。
としまえん。1926年(大正5年)開園の、超老舗の遊園地。関東に住む人は、一度くらいは遊びに来たことがあるんじゃないだろうか。
私は、実はとしまえんに来たのは10年ぶりだった。
絶叫マシーンが苦手なので、「アフリカ館」という、アフリカ探検を味わえる強烈なアトラクションに乗った覚えがある。あと射的の景品だった「巨大なにぎり寿司のぬいぐるみ」も鮮明に覚えている。正直に言うと「変わった遊園地だなあ」という印象が残っている。
その「変わった豊島園」が天然温泉。なぜに?
ひみつの日本庭園!?
「おはようございます、じゃあ、さっそく現場を見てもらいましょうか……」
としまえん広報のNさんが、正門から案内してくれた。正面ゲートから向かって右手に現場はあった。
「いやあ、温泉が出てから、テレビや雑誌の取材が、いろいろ入ってましてね」
としまえんに温泉、確かにときめくトピックスだ。取材殺到も無理もない。
工事現場の囲いの中に入ると、そこは日本庭園だった。
え? 日本庭園?
モミジも真っ赤だ。池もある。
「この庭園は、十数年間、封鎖してた場所なんです。コイもたくさんいるんですよ」
Nさんが餌をバラっとまくと、信じられないくらい巨大なコイが、大量に浮き上がってきた。
こんなところがあったなんて。とても練馬区には思えない、静かな庭だ。
「この庭園を利用して、施設を作るんです。露天風呂も作るんですよ」
想像してた「遊園地に温泉」のノリと違う。スーパー銭湯みたいなもの考えていたのに。ふくらむ期待。
「温泉の穴を掘っていたやぐらは、もう解体しちゃったんですけどね」
現場には、掘削に使った機材が積んであった。直径40センチくらいの棒をつなげてつなげて、地下1キロ以上、穴を掘るのだそうだ。
ちなみに掘っていたときは、左図のような垂れ幕を下げていたらしい。イカス。
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