まず注目したのは行司さんの声だった。
テレビでよく聞く行司の掛け声は、高くて太くて張りがあり、館内中に響き渡るような印象がある。
しかし、テレビで中継されない早い時間帯の取り組みでは、行司も十代くらいの若い方が多く、その掛け声もけっこう違った印象なのだ。
その違いを聞き比べるために、まずはテレビ中継で耳にするような、ふつうに貫禄のある掛け声をお聴きください。
「はっけよいのこった」と言っているはずなのだけど、書道でいう草書体のようにアレンジされていて、はっきり聞こえない。貫禄十分という感じがする。
それに対して、次に紹介するのはまだ若い行司さん。発音もはっきりしていて、なんだか声が上ずっているようにも聞こえる。そしてこの声はどこかで聞いたことがある。
そうか、あの芸人さんだ。
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