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コネタ


コネタ821
 
呼出さんのテンションが低い

対戦力士を呼び上げるのが「呼出」さんです。

先日、相撲を初めて生で見ることができた。

朝一番の序ノ口の取り組みから横綱の対戦までをわくわくしながらずっと見ていたのだけど、そのうちに興味の対象が対戦の内容とは関係ないところに移ってしまっていた。

行司さんと呼出(よびだし)さんの掛け声だ。

対戦する二人の力士の名前を呼び上げる呼出さんや、試合を仕切る行司さん。みんな同じだと思っていたのは大きな間違いで、実はテンションの高い人と低い人の差がものすごく激しかったんです。

(text by 三土たつお

両国の国技館にやってきた

相撲好きの友人に案内してもらい、東京の両国にある国技館にやってきた。

ちょうど九月場所の千秋楽の日で、朝青龍関が優勝すれば大鵬以来の6連覇、琴欧州関が優勝すれば史上最も速い幕内優勝と、どちらにしても大変な記録がかかっているらしい。

そのせいか、国技館の前には、当日券を求めて朝から長い行列ができていた。


やってきました国技館。両国駅で降りるのは初めてです。
当日券は朝の8時半から売り出し。8時に来たぼくたちの前にはすでにこの行列が。
序ノ口の取り組みは朝の10時から始まるけど、
客席はまだガラガラ。

 

 

行司さんの声を聞きくらべます
立会いの瞬間。この直後、「はっけよい、のこった!」となる。

立会いの一巡前、力士同士が構えだけをするときは、行司はやや横を向いている。
こちらも同じ場面。ちなみにこの2つの写真と右の本文中の音声に関係はありません。

まず注目したのは行司さんの声だった。

テレビでよく聞く行司の掛け声は、高くて太くて張りがあり、館内中に響き渡るような印象がある。

しかし、テレビで中継されない早い時間帯の取り組みでは、行司も十代くらいの若い方が多く、その掛け声もけっこう違った印象なのだ。

その違いを聞き比べるために、まずはテレビ中継で耳にするような、ふつうに貫禄のある掛け声をお聴きください。

ふつうのテンションの行司さん

> きいてみる <
(ステレオ:48KB)

「はっけよいのこった」と言っているはずなのだけど、書道でいう草書体のようにアレンジされていて、はっきり聞こえない。貫禄十分という感じがする。

それに対して、次に紹介するのはまだ若い行司さん。発音もはっきりしていて、なんだか声が上ずっているようにも聞こえる。そしてこの声はどこかで聞いたことがある。

そうか、あの芸人さんだ。

ちょっと志村っぽい行司さん

> きいてみる <
(ステレオ:80KB)

 

次は呼出(よびだし)さんです

呼出さんは、ただ力士を呼び上げるだけでなく、土俵を造ったり、寄せ太鼓を叩いたりと、色々な仕事がある。力士同様、各相撲部屋に所属している。

取り組みを始める二人の力士の名前を読み上げる呼出さんの声にも、歴然としたテンションの違いがあった。まずは、ふつうの呼び上げからお聴きください。

ふつうのテンションの呼出さん

> きいてみる <
(ステレオ:72KB)

お腹から声がでていて、気合十分な感じが伝わってくる。最後の方なんか、力が入りすぎて声が半音上がっているぐらいだ。

そして次に、個人的に度肝を抜かれた呼び上げの声をお聴きください。

そうでないテンションの呼出さん

> きいてみる <
(ステレオ:70KB)

・・彼はどうしちゃったんだろう。

夢を持って上京してきたのに、理想と現実の差に悩んでいたりはしないか。そういえばフロムAって100円だっけとか考えていないか。

いませんね。ごめんなさい。

テンションの違いも個性のうちか

なにもべつに、呼出さんはいつも大きな声じゃなくちゃいけないという決まりがあるわけでもないだろうし、たまに小さな声の人がいたっていい。

いっそ、スタッフはみんなひそひそ声で話すというのはどうか。

呼出:「ひが〜し〜、みつち〜や〜ま〜
力士:「えっ、ぼく?」

行司:「手をついて〜。のこったのこった〜。勝負あり。
客:「なに、どっち勝ったの?」

みたいな。

 

 

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