『バスの博物館を作るのが夢なんです』
梅田:(名刺を見ながら)長い肩書きですね。分かりやすく言えば何をされてる方なんですか?
佐藤:昔はもう少し分かりやすい名前だったんですが、国から民間の団体になって、ずいぶん長くなっちゃいましたね(笑)。前身の団体は、産業を盛んにするために、国として考えなければいけない課題を考える研究機関でした。行政改革で独立行政法人になりました。
梅田:具体的にいいますとどのような研究をされてらっしゃるんですか?
佐藤:今、研究しているのがパソコンのマウスについての研究ですね。たとえば、マウスに関して、今のマウスが最高かって言われたらきっとそうじゃないですよね。まだ改良の余地があるはずなんです。たとえばカーソルを持ってきてクリックするときにほんのちょっとずれて思った場所がクリックできない事ってあると思います。これはなんでかと言うと、人はクリックするタイミングになると自然に力が入ってしまうからなんです。そこでマウスに力を察知する機能を付けまして、力が入ってくるとスピードが弱くなるように設定するとより思った場所にクリックができるようになるのでは、というような人間工学的な研究を行っているんです。
梅田:なるほど、わかりやすいです。で、その人間工学的な見地から、バスをよりよく使う方法を考えるために今回のイベントを企画されたわけですか?
佐藤:そうですね。今回の主催はほかの部会も集まって企画したんですが、究極的には僕らは人間の幸福を増すための研究を行っているわけです。で、たまたま僕はNPOでバスの保存会をやっていたので、このイベントを企画しました。
梅田:バスのほうは趣味から生まれたものなんですか?
佐藤:ええ、もうバスが好きで。バスを文化遺産として後世に伝えていこうという思いからバス保存会というNPOを作っております。
梅田:なるほど。人間工学の仕事と、バスの趣味の交点に、この企画があるわけですね。バスの文化というと、なんとなくは分かるんですが、もう少し詳しく話しますと……
佐藤:分かりやすく言えば、バスの博物館って日本にないんですよ。船の博物館も、鉄道の博物館も、自動車も飛行機もあるのにバスはない。国民全体の意識として、たとえば鉄道はひとつの文化なんですよ。バスも文化として残していきたい。1台のバスの寿命は平均10年から15年で、それが過ぎるとスクラップされてしまうんですが、それを少しづつ集めて展示できないかな、と。だから将来的にはバスの博物館を作るのが僕の夢なんです。 |