すべては, 「予約でいっぱい」からはじまった
実は、最初に息子が
「夜行バスで愛知万博に行く」
と言いだしました。
「うっわー、万博か〜混んでんだろうなあ、疲れにいくようなもんだなー」
すでに私は中年の域に達してますから、想像しただけでもうんざりです。長距離バスも車中泊も、聞けば聞くほど疲れてきます。ドッときていた私の耳に、希望日は予約でいっぱいだから翌週にする、と息子の声。
それを聞いた中年女の脳内は混乱し、なぜか「私も行く」と口走ってしまいます。更年期障害でしょうか。
とにかく、「予約でいっぱい」その一言に私は発奮しました。
自己分析によりますと、私はミーハーではないはずです。むしろ絶対多数を逆走してきたと思い続けてきたものですが、いやでもしかし、"予約でいっぱい"にコーフンし、踊らされている私を、ミーハーではないと誰が言えるでしょうか。
私には言えません。
東京駅に浮かぶ万博オーラに武者震い
夜行バスの集合場所は、東京駅。
小雨が降る中、深夜の丸の内周辺は愛知オーラが……。
もしや、と、思いましたが、中央郵便局の前に長蛇の列。
まさか、と、思いましたが、みなさん夜行バスで愛知に臨む方々。
同志たちの気迫に圧倒され、二三あとずさりした私ですが、自分たちが列の最後尾につくことも忘れ、ずいぶんと勇敢な人がいるもんだなあと感心しきりでした。
順番をまちながら「愛・地球博ガイドブック」を熱心に読みあさっている方もいます。イメージトレーニングでしょうか。並ぶコツはすでにパーフェクトなまでに習得なさっているようでなによりです。試験開始ギリギリまで単語帳を目にしているような秀才タイプだとお見受けしました。
『人生、一生勉強』
これは誰の名言でしたか。
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