きっかけは1年半前にさかのぼる。「牛丼はまだここで食える」という特集を作ったときに気になったことがあった。
紅ショウガの色は店によってずいぶん違う。
ということだ。同じだと思っていた紅ショウガが違うことに気づいたのだ。ひとつだと思っていたものがそうではなかった。世界が広がるダイナミズムを体験したと言っても過言ではない。
いや、また言い過ぎた。しかしほんとにけっこう違うんですよ。(林 雄司)
エントリーは大手牛丼チェーン4社から
左上から時計回りに、松屋、吉野家、なか卯、すき家
いきなりずいぶん色が違う。松屋、吉野家はイメージ通りの赤さであるのに対し、なか卯とすき家は紅ショウガというよりも、すし屋のガリの色に近い。
実はすき家の紅ショウガを見て、紅ショウガの色の幅に気づいたのだ。「奇跡の人」だったら「ウォーター」と言う場面である。
では細かくさらに赤について見ていこう。それぞれの赤さについて、コンピュータや印刷で用いる色指定の数字を書いておいたので参考にしていただければ幸いである。
松屋
最も赤い。多メニュー展開する松屋のなかでいかにもという赤さで自己主張しているのではないか。持ち帰り用のパッケージに書いてあった着色料は赤102号。
CMYK
吉野家
艶やかな赤。朱色である。これが漆塗り(風)の容器に入っているのはなかなかセクシーだと思う。さっき考えた。こちらもやはり着色料は赤102号。
なか卯
ややくすんだ赤。これだけで見ればじゅうぶん赤いのだが、ほかの紅ショウガと比べると赤くない。ほら、クラスにもそういう人がいたじゃん、と思ったがたとえが違う気がする。やっぱり着色料は赤102号。
すき家
赤くない。紅しょうがというよりもすし屋のガリの色である。ショウガ本来の色だ!と興奮していたがあれも着色してるんだった。着色料は野菜色素だそうだ。色の薄さのわけはそれか。
赤いぜ!紅ショウガ
以上、紅ショウガの赤には幅があることがお分かりいただけただろうか。紅ショウガだけ見せられてそれがどこの牛丼屋のものかを当てなければならないとき、今回のテキストが参考になれば幸いである。