本当に、そばは「ずるずる」いうのか
まずは、スーパーマーケットのフードコートにあるそば屋にやってきた。駅のソバ屋だとか、まちの立ち食いソバだとか、さくっとしたスナック系のソバ屋にひかれるたちで、ここにもよく来る。
ふつうのソバ屋だと、それこそそこらじゅうからズルズルいう音が聞こえるものだが、ここでは他の店舗で買った物を食べる人(ハンバーガーとかお好み焼きとか)もいるので、自分のすする音のみに録音できるというもくろみもある。
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わかめそば、オーダー
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それでは、いただきます。音を聞く前に、まずみなさんの心の中で、そばをすする音のイメージを確認して、実際の音との誤差をお楽しみいただければと思う。
おおー。書き出すと、「ズルズル」よりも「ズズズ」。しかも「ヅヅヅ」というかんじだろうか。「ゾゾゾ」とも聞こえる。何にせよ、こうして音だけ聞くと、すごく吸いこんでる! 感がよく伝わってくる。
続いてもそば。ただし、つゆに付けて食べるざるそばだ。つゆにつかっている温かいそばよりも、より「ズルズル」といういうイメージが強いが実際は。
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都合のよいことに、うどんとの合い盛りを発見。これでうどんの音も採取できるぞ |
おっ! どうでしょうか。私としては、温かいそばよりは「ズルズル」に近い気がする。「ズズズ」の「ズ」の部分が鋭角的だ。
では、ちょうどよく隣接して盛られたざるうどんは。うどんの「つるつる」というイメージはそのままか。こちらの音声ファイル、非常に短くなっております。まばたきをしないで聞いてください。
おや。「つるつる」というよりも、これは「ちゅるちゅる」だ。「ちゅるっぼんっ」と口に入っていくのが音でよく聞こえる。
「ちゅるちゅる」というと、うどんよりもラーメンのイメージじゃなかったか。じゃあ、ラーメンはどうでしょう。
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ネギラーメンください |
これは……! そばだ! そばの音と同じだ! しかも温かいそばよりも、ざるそばの音に俄然近い。「ズズズ」だ。へえー。
そうめん、やきそばなどの「自宅麺」はどうか
続いては夏の麺の代表格、そうめんと、我が家でよく作る焼きそば。麺の中でも外食というより自宅で食べるイメージの強いこれらは、果たして。
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うちのそうめんは恐ろしくシンプルです。ノン薬味、ノンおかず |
あれっ? これだと「するする」とか「つるつる」っていうよりも「ズズズズ」じゃないか。「つるっと食べられる」なんてよく言われるそうめんだが、実際には「ずずっと食べている」。
子供言葉でそうめんのことを“つるつる”とよく呼ぶが(ex「“つるつる”食べまちょうねえ」)これは間違みたいですよと全国のお母さんへお伝えします!
どうでもいいが、フードコートに対して自宅という環境があまりにも静かなのに驚きだ。
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続いて、近くのんスーパーで買った焼きそば |
スパゲティーなどは食べるときにすすらない。焼きそばも、ちょっと考えてみて「あれってすするっけ?」と思ったのだが、箸をとってみると自然にすすっていた。
「ヅヅヅ」の濁点部分のエッジが鋭角的だ。かなり強くすすっている。他の麺では聞こえなかった、具を租借する音(キャベツだと思われる)も力強い。
すっかりすすり音の専門家気分でコメントしております。
最後にカレーうどんを
注目して欲しいのは最後にご紹介するカレーうどん。うどんの音のイメージは「つるつる」で、実際食べてみると「ちゅるちゅる」であることは先に判明したが、カレーうどんのみはうどんでも「ズルズル」音がするイメージを個人的に持っていた。
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どうでしょうかしら |
そうなのだ。食べてみて分かったが、カレーうどんは無音であった。カレーうどんの汁の飛び散りに関してはデイリーポータルでも警笛をならしている訳だが(コネタ「カレーうどんはどれだけ飛び散るのか」「カレーで服を煮る」)、汁を気にすると、カレーうどんはズルズル音をたててすすれないのだ。
イメージと現実の差を最も思い知った例だった。
麺すすり音マトリックス
以上をふまえた上で、麺のすすり音マトリックスを作ってみた。
ぜひ、麺を食べる際はその味わい、食感とともにすする音もお楽しみください。通好みのそば屋の張り出しみたいになったところで、また来週!
この音をライター乙幡さんと古賀で聞き比べている様子を音声でお届けしております。
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