ーー鳥の巣を収集するきっかけは?
もともと生き物大好き。20年ほどまえ、自宅近くの山(伊豆在住)で見つけたことがきっかけとなる。その造形、芸術性にひかれ、鳥の巣の絵画製作と収集に取り組む。
ーー運搬、保存方法は?
ほとんどが木箱に固定して運搬する。保存は、原型をとどめるカタチで木工用接着剤やニスなどで補強。緻密な作業が必要なので遺跡の修復作業と類似しているとも。
ーー主のいない巣、どの鳥のものかわかるのはなぜ?
形状が独特なものが多いのでだいたいは把握できる。また生息地、場所から判断することもある。春や夏に見かけ、巣立ち後の冬に採集することもあるが、鳥は敏感なので子育て中に観察をすることはしない。
ーー日本と諸外国のちがいはありますか?
国別というよりも、土地別、空別、同じ種であっても環境によって変化がある。特徴という意味では、大きく強い鳥は開放的な作り(間口が大きいなど)をしていて、小さく弱い鳥ほど繊細な作りで入り口が凝っていて用心深い。
ーーこれはぜひ見たい、という鳥の巣はありますか?
ありすぎて答えられないほど。鳥の世界からみると、一生かかってもほんの一部しか見ることはできないだろう。まだ人が発見していない鳥もいるはずだし、その数だけ巣もあるはずだから。
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(写真)トリ集団アパートの下の鈴木氏。世界にはまだまだ未知の巣があるのだ。 |
クモやまゆの糸で葉っぱを縫って巣にしているものもあれば、クモの糸がなかなかない東京のメジロの巣が、ビニールでできていたりする。大木を乗っとって集団アパートをつくる鳥もいれば、アフリカでは、ヘビの抜けがらやヘビの薫製(!)で補強してある巣もあるとお聞きました。
教科書もテレビもインターネットもない、だれにおしえてもらったわけでもないのに、せっせと巣を作る彼らの、なんとたくましく健気なことでしょうか。
本物の鳥の巣を目の前にすると、小さな痕跡に、想像力が異常にふくれあがってキリがありません。
妄想癖が発症するとたいへんですが、でもやっぱり、機会があれば本物の鳥の巣をみてください。
「まいにち、ごくろうさまです」
と頭をさげたくなるくらい、鳥を見る目が変わってきますよ。
「ユーの目で、本物をたくさん見ておけ」
と、祖父は祖母の目を盗んで、小さな私をよく競馬や競輪場につれていってくれましたが、なるほどそういうことだったのかと祖父の偉大さをあらためて実感しています。していません。 |