私の尊敬する人は日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんだ。 常に冷静でありながら、女性らしいあたたかみを持つ向井さん。宇宙で短歌を詠んだり、金魚の宇宙酔い実験をしたり、なんとなくお茶目な向井さん。
そんな素敵なレディ、向井さんに会える科学館が群馬にあるというので行って来ました。
(text by 神田ぱん)
向井さんの生誕地・館林へ
「向井千秋記念子ども科学館」は、群馬県館林市の城跡にある。館林は久喜から東武伊勢崎線で30分、あんがい近い。
館林城は、初代城主の赤井照光が狐を助けて建てたという。子どもにいじめられてた子狐を照光が助けたら、夢に白い狐があらわれ、館林にお城を作るよう奨めたそうだ。 あと、狸が化けて踊りをおどったりする「分福茶釜」は、市内の茂林寺に現存する。 なんとなく動物にゆかりがある街。
向井さんがいっぱい
熊に従って、館内を自由に見学。 あっちにもこっちにも向井さんの大きなパネル写真があり知的な優しい笑顔に癒される。 同じ写真に見えるが気にしない。 そのほか、宇宙に持って行ったつつじのタネや館林市の名誉市民顕彰や色紙など、貴重な品々が展示されている。
宇宙や科学を体験してみよう!
科学館らしく、プラネタリウム(別料金)や体験ができるコーナーも充実していた。 特に、「ほかの惑星での体重測定コーナー」ではかった冥王星での体重がとても軽くて驚き。瞬時に痩せられる「冥王星ダイエット」っていいじゃない。と思ったが、冥王星へ行くには250年ぐらいかかるそうなのであきらめた。
ムーンウォーカーに挑戦だ!
さて、この科学館のウリは「ムーンウォーカー」という施設だ。
月の重力は地球の1/6。「ムーンウォーカー」は、月の軽い重力をブランコみたいな乗り物に乗って体験してもらおうというもの。 しかし体重制限70キロ。冥王星にでも行かない限り、私が乗ることはできない。そこで同行していたIさんにやっていただく。
ムーンウォーカーで精神を解放する
……まぁ、なんかピョンピョンできる道具であることは間違いない。おとながやって楽しいかは微妙らしく、Iさんも係のおねえさん(美人)も終始無表情。
しかし私がふと「給油所みたいですね」と漏らしたら、2人とも笑いが止まらなくなってしまった。
「給油所」がさほど気の利いた冗談とも思えないので、ピョンピョンしてるうちに、精神が解放されたのかもしれない。
2Fは向井さんアイテムが目白押し
2Fはよりいっそう向井さん度が高い。 向井さんの科学実験や講演会の模様をビデオで見ることができる。 それから学生時代の写真や日記、文集、宇宙短歌など、向井さんのプライベートもちょっぴり垣間見られるのだ。 ガラス越しなので写真が見づらくてごめんなさい。
向井さんが「宙返り 何度もできる無重力」と上の句を詠んで、下の句を募集した宇宙短歌は、14万5000首も応募があったという。 ちなみに向井さんが詠んだ下の句は「着地できないこのもどかしさ」。向井さんらしい、素直な歌ですネ。
迫力があるのは、シャトルの内部を再現したコーナーだ。
向井さんは1985年に宇宙飛行士として選ばれ、1994年スペースシャトル「コロンビア号」にペイロード・スペシャリストとして搭乗した。1986年には「チャレンジャー」の爆発事故も起きている。それでも果敢に宇宙へ飛び立ち、館林市の中学生へ無線で「天女になって空を飛んでるようだ」というメッセージを送っている。
コロンビア号での宇宙滞在期間は約14日半。 その間、お風呂も入れないしお酒も飲めない。一歩外に出れば真っ暗な宇宙。 こんな狭いところでミッションを遂行するには、強靱な精神力が必要だ。 若かりし頃のおっとりしたお嬢様な向井さんも可愛いけど、宇宙へ羽ばたいた向井さんには人間を超える何かを感じる。 「凄いねー向井さん」「ほんとだよねー」。私もIさんも働く主婦として、向井さんの偉業に感心するばかり。
「けんたくん」との出会い
だけどやっぱり本物の向井さんはいないのかあ〜。 ちょっと残念だったが足跡は堪能できたし、ファンとしては満足! そんな感動を胸に帰ろうと思った時、何やら不思議な展示物を発見した。
そばに近づいてみたら、パソコンと連動した「にがおえマシーン」らしいことがわかった。「どこかキーを押してね」とあるので押してみたらこんな画面が。
けんたくん。パッソくんやぴゅうたくんじゃなく、けんた。 なぜそんな名前なのか? 疑問に思いながらも名前や性別を入力すると、キーボードから顔のパーツを選んで入力してね。とけんたくんに頼まれる。 顔のパーツってこんなん↓です。
全部入力し終わるとけんたくんからこのように告げられた。
うん、わかったよけんたくん。 すると、けんたくんの隣りにあったロボットが動き始めた。
けんたくんマシーンは、おっとりのんびり積み木を装着して行く。 「タバコでも吸いたいね」「ここ禁煙だよ」「帰りさ〜、どっかでお茶しようか」「ビール飲みたい」「いいねビール」。 さっきまでの感動はどこへやら、もう酒の話である。 冷たいビールの誘惑にぽやーんとしてるうち、けんたくんの作業が終了した。
おー、ようやくできたかあ。 どれどれ、私に似てるかしら??
!!!!!
似てるとか似てないとか、けんたの表現力はそういう次元を超えていた。でも一生懸命作ってくれたから、ハートマークを押しました。けんた、可愛いやつ。
本物の向井さんは渡仏中らしい
結局、パネル写真やビデオ映像の向井さんにしか会えなかったけど、それでも向井さんの素晴らしさがわかって嬉しかった。 受付のお姉さんによれば、本物の向井さんは現在、フランスの大学で講師をされているそうです。
こんなに盛りだくさんで楽しい科学館ながら入館料はたったの310円。安い、安すぎる。みなさんも館林へ行かれることがあったら、ぜひお立ち寄り下さい。 ◆向井千秋記念子ども科学館 https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/kagakukan/ 群馬県館林市城町2-2 9〜17時(入館〜16時30分)、月曜休 おとな310円(プラネタリウム別途520円)