ミルクセーキ発祥の店
一体どうして、このような独自スタイルに発展したのか?
長崎流ミルクセーキ発祥の店と言われている喫茶店「ツル茶ん」に話を伺いに行った。ちなみにこのお店、なんと「九州で最初の喫茶店」という歴史ある喫茶店でもある。
三代目マスターの川村さんは、終始にこやかにこう語ってくれた。
「私の祖父の頃、当時はまだ冷凍室のついた冷蔵庫がない時代でした。そこで長崎の暑い夏に合うように、練乳をベースにしたタネをかき氷に加えて作ったのが、氷菓子のミルクセーキです。」
これが大ヒットし、いつしか長崎中の喫茶店で見られる定番メニューとなった。ただ、作り方を伝授したわけではないので、店ごとに作り方が異なり、さまざまなバリエーションがあるらしい。(バニラアイスと氷をミキサーにかけた、マックシェイクのようなミルクセーキとか)
名物が作られる条件
お話を伺ってるうちに、その土地の名物と呼ばれるものができる“条件”が見えてきた。
まず、誰かが他にないオリジナルなものを自由な発想で開発する。次にそれを周辺の店が真似をする。真似する、というと聞こえが悪いかもしれないが、真似することはそれを受け入れ支持することだ。創意工夫を加えながらみんなが取り入れる。そしてなぜか全国的には展開しない。
この3つが揃った時、その土地の名物が誕生するのではないか。長崎に名物が多いのは、これらの条件が揃いやすい風土があるような気がした。
話は広がり…
川村さんの話はその後、ミルクセーキから広がり、チャンポン、トルコライスといった長崎名物の起源から、肉ジャガやハンバーグの話、ついには日露戦争や薩摩藩の話、はたまた今度上映される映画「いつか読書する日」(長崎が舞台)の話へと、とどまるところを知らず広がっていった。面白い話をいろいろありがとうございました。 |