【感想文】動物園に、いこう。
うちの犬は、私がベッドに入り、寝息をたてるまでビットリとそばにいてくれる。ボディーガードをしているつもりらしいのだが、いったん「こいつ寝たな」と思うとぜったいに私には近づかない(らしい)。
それはなぜだろう。さっぱりわからない。私はそんな、犬の心理がどうしても解せない。
自分ちの犬の気持ちでさえ理解できない私が、ハシビロコウの気持ちを理解することなど不可能ではあるものの、多大なる関心をもって長い時間をかけ、かれらの様子を一部始終見てきた。
一歩一歩、用心深く歩く姿も、魚をひとのみする様子も、悪巧みのあの行動も、すべてがかわいらしく非常に興味深い。 絶滅危惧種だと聞いて、どうにかならないもんだろうか、と本気で思う。
たまたま私は今回ハシビロコウを見てきたが、たいくつそうに見える動物園の中は、ほんとうはかなりドラマチックに展開しているのではないだろうか。それをじっくり見て、カレらを知るほど、もうなんだか他人事とは思えなくなってくるんじゃないのか、と思った。
でもって、もしや私の母は、それを全身で子どもたちに教えていたのではないか、そんな気がしてきた。
そうだ、だって彼女はいつも動物園から帰るとちゅう、
「あのピューマは私ばかり見ていたのよ。気持ちが通じたのよ」
「私のこと親だと思ってるらしいわ」
「私の前世ってもしかしたらネコ科の動物かもしれない」
など、そんなちょっと、尋常ではないセリフを、まじめな顔して言っていたのですから。それを聞かされる、こっちの身にもなってみてください。 |