マウスを操作するとき、手首のところにプルプルしたやつを置いて使っている。
のっけから言っている意味がさっぱり伝わらない一文になってしまった。マウスを操作するとき、手首の負担を軽減するために置くあれだ。
使ったことのない方も、量販店のOAコーナーなどで見たことがあるのではないだろうか。プルプルしていて気持ちいい。
今回は、気がついたらそんなものに向かってムキになっていました。
そう言ってもさっぱり伝わらない気がしますが、とにかく私の本気を見てください。
(text by 小野 法師丸)
●いとしきプルプルを愛でる
マウス操作の際に手首のところに置くプルプル。写真をご覧いただいた方が早いだろう、こういうものだ。
数年前に買って以来愛用しているもの。買った当初はきれいな水色だったのだが、時間が経つにつれてこんな渋い色合いになってしまった。好みもあるだろうが、個人的にはこれがあるとマウスを操作しやすく感じる。
いつも手にとっては心の中で「ほんとプルプルしてるよな」と思っているこれ。一般的にはなんて言うんだろう。
正式な名前がわからないので、今回は「手首のところに置くプルプル」、略して「プルプル」と呼ぶことにする。さすがに「プルプル」という商品名ではないだろうが、便宜的にプルプルだ。
本来手首を守るためのものなのだが、仕事の合間につい遊んでしまう。プニッと押した感触も気持ちいいし、跡に残ったしわしわがゆっくり戻っていく様もじっと見てしまう。
仕事に行き詰ると、手にとってはいろいろといじくってしまう。変化する様子がいちいちかわいらしいのだ。何をかわいらしいと思うかは人それぞれ、特に右の写真なんてたまらない。
ドキドキするのは、その逆にのけぞらせるときだ。
このままのけぞらせ続けると、パチンとはじけて中身が飛び出してしまうのではないだろうか。それは困る、でもちょっと見たい。そんなことを繰り返していると、仕事も忘れて30分くらいいじってる。
そういう自分の好奇心にけりをつけるために、今回はこのプルプルを極限まで追い詰めてみようと思う。
●心の壁を突き破って
いつもなら上の写真くらいまでのけぞらせてやめてしまう。それでも額にうっすら汗がにじんだりしている。今回はもっとアグレッシブに、アルティメットに攻めてみよう。
普段はタブーとしている領域の反り具合。いつもならすでにやめているところだが、今日の自分は違う。プルプルを失うことは恐れず、極限まで試すのだ……。
そう思っていたのだが、やっぱり躊躇してしまう。中身が激しく飛び出す様子を想像するとたまらない気持ちになって、手に力が入らない。たぶん今年最高のドキドキだ。
また無為にプルプルをいじる日々に逆戻りか。そうじゃない、目をそらさずにプルプルの実力を見極めたい。
ダメだ、予想以上にタフなプルプル。底部の両はじがくっつくところまで反らせても、中身がはじけ飛んだりはしない。
かなりの実力のプルプル。ビューッと中身が飛び出すことを恐れながらも期待していた私の気持ちは宙に浮いたままだ。あのドキドキはなんだったんだ。
●とことんいきます
反り返ったプルプルを見て、自分の中で何かが吹っ切れた。こうなったこっちだって本気だ。もうビクビクなんかしない。
そんな気持ちが私を屋外へと駆り立てる。
地面に置いて踏んづけてみる。プルプルの半分に足を乗せ、中身を片側に寄せて強度の限界を超えさせようという作戦だ。
片足を宙に浮かせて全体重を乗せる。どうだ!
ダメだ、しわこそ寄ってはいるものの、表面の膜が破れてしまうところまでいってない。なんなんだこの強度は。プルプルにここまでの耐久性は必要なのか。
グリグリと継続的な負担をかけてもダメだったプルプル破り。ならば強い衝撃を一気にかければいいのではないか。そういう仮説を立てて導入したのは台。
この上からジャンプしてプルプルの上に着地してみる。
狙った通りにプルプルへと着地。ジャンプの高さにも悔いはない。さあ、結果はいかに!?
●人間のとしての限界
ダメだ、やぶれてない。なんて奴だ。
思い切り跳んだにも関わらず、着地の際の足への衝撃をあまり感じなかったのはやはりプルプルのおかげなのか。感謝した方がいいのだろうか。
こちらの本気を余裕の性能で返してくるプルプル。
今回は私の完敗だ。とりあえずはこれまで同様、おとなしく使い続けていこうと思うが、さらなるとっちめ方も温め、いつかリベンジしたい。
● 個人的なお知らせ:本が出ます ●
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ライター・小野法師丸の個人サイト「テーマパーク4096」での日替わり読み物コーナー「コラム息切れ」をまとめた本が出ることになりました。書き下ろし記事「月刊鎧ライフ」でも12のミッションを敢行して掲載。
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