実家のタンスにあった、父のネクタイ。ちょっと借りようと思ったことがあったのだが、どれもこれも自分で締めるには躊躇する柄だった。こういう柄が流行った頃もあったのだろうか。いや、父は服装には無頓着な人だから、あまり何も考えずに使っていたのかも知れない。かっこわるいなあ、と思ったのだが、私の立場からすれば、そうとばかり言ってはいられない。父は、このかっこわるいかもしれないネクタイを締めて仕事をし、家族を養う金を稼ぎ、私を育てたからだ。デザインとしてはかっこわるいと思うようなネクタイかもしれない。それでも、全ての息子や娘にとって、父親のネクタイはかっこいいと思うべき対象であるはずだ。