近年、JRの駅ナカ事情は華やかだ。色々なところで駅ナカがちょっとしたデパートのようにおしゃれになってきている。
ところが、ここ東京の池袋駅においてはそんな流れに逆行するような状況が散見される。特に外食がちょっとだけヘンなのだ。
(斎藤 充博)
カツそば
まずはJR池袋駅改札内、埼京線ホーム直下にある立ち食いソバ屋「爽亭」から紹介したい。
そばの上に揚げ物。
天ぷらを載せるのは普通だし、カラアゲが載っかっているのを見たことがある。それに乗じて、カツか…。
ダメということはないが、何か超えちゃいけない一線を半歩だけ踏み出しているような、そんなちょっとだけヘンなメニューだと思う。
食べてみると、カツとソバのハーモニー的なものは特になくて、それぞれが独立した味になっている。「おれは今ここでカツも食べたいしソバも喰いたいし5分後に来る埼京線にも乗りたいんだよ!」そんな希望を持つ人にはうってつけだ。
この店には「カツ丼」「カツ定食」などのメニューはないので、このカツは「カツそば」のためだけに用意された物である。お店としては結構本気だが、カツとしてはソバにそっぽを向いている状況と言えるだろう。こういう状況、人間関係に当てはめて考えると楽しい。
店員さんのおすすめは冷やしトマトうどん
この爽亭(なんて読むんだろうか)、それからしばらくしてから通りかかったらまた少しヘンなメニューを売り出してた。
最近は駅の立ち食いソバもいろいろ工夫を凝らして目新しいメニューを打ち出しているが、これはちょっと新しすぎるんじゃないのか。大丈夫か。
キーマカレーそばには「暑くなってくるとやっぱ食べたい」というコピーが添えられているが、「暑いから『キーマカレーそば』食べたいなー」なんて思う人はいないだろう。そんな創造性の高い料理を、勝手に暑い日の定番にしなくても良いと思う。
そばでなくて、うどんにした。店員のおっちゃんに「うどんにしておいた方がクセがなくていいんじゃないのか」とのアドバイスを受けたからだ(そばかうどんかは食券を渡す時に指定する)。
おっちゃんとの温かいコミュニケーション。ありがたいんだが、本当にここが山手線の駅かどうかわからなくなってきた。
キワものっぽい見かけだが、ニンニクとトマトの香りが冷製スパゲッティみたいでけっこうおいしい。埼京線を待っている間に、イタリアンを一食食べれると考えるとすごくお得なメニューと言えるだろう。