−−−ところで、今回一番聞きたかったことなんですが、切るのが一番難しかったリクエストってどんなリクエストなんでしょうか?
「うーん、困ったリクエストですか。前に本当にあったのは「俺と女房の腐れ縁」っていうリクエストがあって困りましたね」
−−−腐れ縁? なんか抽象的ですが、その時はどういうふうに対応されたんですか?
「その時は『これでお切りください』って鎌を切って渡したんですよ」
−−−鎌。あぁ「腐れ縁を切ってくれ」ってことなんですね! 今気づいた! なるほど、もうトンチの世界ですね。
「紙切りは技術が大切なのはもちろんなんですが、一番難しいのはどのように返すのか、返す技術ですね、一瞬で考えてすぐ言わなきゃいけない、でも……けっこう後で思いつくんですよね、いい返しを。あ、あの時ああ言えば良かったとか。でも、それはまた次に使えますから、そのへんはやっぱり経験を積むしかないですね」
−−−いじわるな注文をわざとされたりとかはありますか?
「いじわるということでもないんですが「冷蔵庫」って言われたこともありますね」
−−−冷蔵庫。それはどういうふうに対応しました?
「その時は『冷蔵庫ですか』って聞き返したら『四角い箱だよ』って言われたので『じゃあこれをどうぞ』って紙をそのまま渡したんですが、今なら扉が開くように切ったりするでしょうね(笑)」
ぼくも「あ、あの時ああ言えばよかった」なんてことホントによくあるけど、芸人さんがすごいのはそれをちゃんとフィードバックして次に生かしているということだ。
横顔紙切りがすごい
ところで、花さんは寄席で観客にリクエストを聞いて紙切りをするだけでなく、観客の横顔の切り絵を即興で切るという芸もされている。ぼくがモデルになって切ってみてもらった。 |