粘着クリーナーを愛用している。 フローリングやカーペットの上で転がして、床のホコリを取るハンドサイズのクリーナーだ。テレビやインターネットをしながら片手間に部屋の掃除ができる。20世紀を代表する発明品だと思う。
ただ、ハンディサイズでお手軽な一方、あれで部屋の隅々まで掃除するのはやや骨が折れる。もっとでかい粘着クリーナーがあれば床のホコリを一網打尽にできるんじゃないのか?
(榎並 紀行)
粘着クリーナーは便利だ、でも…
夜中で掃除機がかけられない時などに、とても重宝する粘着クリーナー。気になる部屋のホコリや毛などのゴミを、サっと吸着してくれる。みなさんのご家庭にも、きっとひとつくらいはあるんじゃないだろうか。
粘着クリーナーの幅はどのメーカーのものも160mmくらいだ。ハンディサイズでお手軽なのはいいが、部屋全体を掃除しようと思うとけっこう大変だ。時間がかかるし腰も痛くなる。
ちょっとしたホコリや毛を取るくらいならまだしも、本格的に部屋を汚してしまった場合はさらに大変だ。
などと、小芝居をするまでもなく、大変な重労働となるのは目に見えている。こういうとき、でかい粘着クリーナーがあったら便利だろう。
では、作ろう「でかい粘着クリーナー」
「あると便利」×「でも世の中にない」=「売れる(儲かる)」 というのはもっとも基本的なビジネスの方程式といえるだろう。
でかい粘着クリーナーを作れば、一生あそんで暮らせるかもしれない。
ビッグマネーへの期待に胸を膨らませつつ、でかい粘着クリーナーの材料を調達するべく近所のホームセンターを訪れた。
粘着クリーナーの芯になる部分は1メートル60cmのパイプを使用することにした。じつに既製品の10倍の長さである。ギネス級の粘着クリーナーといっていいだろう。
まるで、粘着クリーナーを作るために存在していたかのようなパーツを組み合わせるだけで、簡単にでかい粘着クリーナーは完成した。制作時間はわずか10分なので、オートメーション化すれば大量生産も可能である。
ただ、問題はうまく転がるかどうか?
OK! ちゃんと転がる。手ごたえも軽くスムーズだ。細腕の主婦にも扱いやすいユニバーサルな使用感といえるだろう。
次にクリーナー部分に粘着テープを巻きつける。使うのは市販のフローリング用スペアテープだ。
その威力のほどは?
先ほどまでにゴミが散乱してしまうと、通常の粘着クリーナーでは取りきるまでに15分を要した。でかい粘着クリーナーではどうだろう。
ではさっそく使ってみよう。
先ほどはあれほどてこずったゴミが1往復半でなくなった。凄まじい威力である。
じつは粘着テープを巻くのに10分くらいかかっているから、トータルの掃除時間的にはさほど変わらないわけだが、小さい粘着クリーナーを転がし続けるよりはだいぶラクだ。腰も痛くならない。
どうしよう、ホントにけっこう便利じゃないか。
コンパクトばかりがいいわけじゃない
冗談ではじめたことなのに、わりと本気で使えるものができてしまった。 世の中の商品はどんどんコンパクト化に向かう傾向にあるが、逆にでかくすることで利便性を増すケースもあるのだ。