デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
予習復習めしが美味い

一週間、待ちに待ったメニューが出てきたときは「これか!」というきらめきがあった

通の作法で食べる

通はこうだ。そんなものはすべて思い込みだが、それでうまくなるなら、うまいと思えるなら万万歳だ。


通の作法を考える

通の作法とは、塩で食うというやつだ。

テレビで「そばを塩とわさびで食うとうまいですよ」と紹介していて、そういうものがあるのかとマネしてみたりしている。

そばはたしかにうまかった気がするから、チキングリルにも導入してみようじゃないか。

余談だがそれを言ってたのは灰皿でウイスキーを飲ませたと報道があった市川海老蔵なので、そばの塩も罰ゲーム的な何かの可能性もある。


テーブルにあるふつうの塩。通は岩塩とかじゃなくこれだ。
端の一切れのソースを気持ちぬぐって、塩を塗る

塩や!

いよいよ口に

口に入れると塩の道が見えた。

海のない信濃の国へ、日本海から太平洋からはるばる塩を運んできた塩の道というものがあるのだ。

塩がなくなった私の口は武田信玄、そんな私へと塩を送るチキングリルが上杉謙信。そう、ここから「敵に塩を送る」という言葉が生まれたのである。

武田信玄と上杉謙信が川中島で戦うこと、七回。七回噛んだか噛まないか。それほど早くに飲み込んでしまった。武田信玄と上杉謙信のどちらが勝ったのか?それは誰にもわからない。

わかったことは、料理に塩をふるとさすがにしょっぱいということだ。


食材への思い入れも厚い

図書館で勉強していた成果はまだある。口に入れる食材の一つ一つの栄養を、ありがたみを噛み締める。


昼を抜いたせいか、一心不乱にわっしわっし食ってた

ランキングの味をかみしめろ

図書館で勉強したのは調理法だけではない。食材ひとつひとつの栄養をチェックし、ありがたみを噛み締めていた。

たとえばこの鶏肉。『子供を強くする100の食材』(長沢 池早子 成美堂出版 2003/05)ランキング100ではなんと鶏肉が99位なのだ!

子供に99番目に食べさせたいほどの栄養!

と言って、それがどんなものかよくわからなくなってきたが食ってるときはお題目のようにありがたかった。


キャベツもレタスもねぎも生姜も、全部栄養!うまいうまい!

キャベツもねぎも全てが輝きはじめる

鶏がよっこらと腰を上げた下にあるのはサラダ、キャベツとレタスにドレッシング。

例えばこのキャベツ。キャベツから発見されたキャベジンは胃の粘膜を再生し、胃潰瘍などの予防にも役立つ。ビタミンCやカルシウムもある。

そしてなんと、キャベツは『子供を強くする100の食材ランキング』の第98位!そう、今や99位の鶏肉と98位のキャベツを同時に口に放り込むことも可能。

可能だがそれが何になるのかは神のみぞ知ることだ!


口に放り込みすぎた、吐き出してしまわないか心配である

勉強してきたことが役に立つ

ああ、たしかに鳥肉が柔らかい。皮もパリパリだし、味付けも和風だ。全て正しい全て正解。

この鳥が柔らかいのもスチームのおかげ!皮がパリっとしているのは皮を下にしてグリルしたおかげ!

江戸時代に流行したお参りで、日本人に生まれたありがたさを伊勢神宮にお参りにいく「おかげ」のお参りお蔭参りというものがある。

これが現代のお蔭参りだ。さあおかげをお参りに行こう。あのパワースポットにデニーズのありがたさを全部ぶち込んでこよう。

ああ、ここまでやってきたことは無駄ではなかったのだ。お蔭参りの人々もきっと同じようなことを思っていただろう。

色々な苦労が走馬灯のように思い出されるじゃないか。


思い出すなあコピー機
思い出すなあポスター継ぎ
思い出すなあポスター貼り

思い出すなあ横位置。

さようなら

そうそう、この味。ここがこうなっているのだな。たった二回目なのに、長い間慣れ親しんだ気さえしてくる。

これが予習復習飯の効果。最初にピークまで上げたテンションはゆるやかに高度を落としていく。やさしい味になってきた。

ああ、どうでもいいメニューが終わってしまう。名残惜しいぞ、どうでもいいメニュー。


名言を取り入れる

図書館で勉強していた成果はまだある。口に入れる食材の一つ一つの栄養を、ありがたみを噛み締める。


うまいものだからこそ、残すのだ

名言を取り入れてしめる

「うまいものなら、ふた箸のこせ」という言葉がある。『食の名言辞典』で知った志摩の真珠王御木本幸吉の言葉である。

うまいものは栄養価が高すぎることもあるのだろう。また、もう少し食べたいという気持ちが明日への活力となることもあるのだろう。先人の言葉は大切にしたい。

jまたこんな言葉もある。

「涙とともにパンを食べた人でなければ、人生の味はわからない ゲーテ」

こちらも、なんだかわからないがイイ話っぽいなという雰囲気に満ちていて食事の最後に添えたい言葉だ。

そしてこんな言葉もある。

「この俺を、トリュフといっしょに埋めてくれ モンスレー」

これについては知らんがなという気持ちがメラメラ湧き上がってくる。


やっぱ食うけどな

高いテンションの八割は空腹のせいである気もする

空腹が起爆剤となった

うまかった。かなりの脳内麻薬物質が出た気がする。

だがこの圧倒的なテンションの高さは空腹のせいがほとんどであるような気もする。結局、普段の半分くらいの速度で食べ終わる早食いだった。

しかし空腹は起爆剤としての役割を果たし、その爆発を受け止めてくれたのは予習復習したあれやこれやだったのだと思う。この皮のパリパリは‥‥この肉の柔らかさは‥‥、あのドアに貼られていたポスターを今まさに口に運んでいる感動があった。

好きなものを食べられる機会などどうせそんなにない人生なのだから、ものすごくありふれたものをこれからは好きになるようにしようと思う。

そのためには日々勉強である。塾に通うことも、私はやぶさかではない。


< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.