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フェティッシュの火曜日
 
狭すぎる柔術道場

お茶菓子とお茶が出る

イメージしていた武道とちょっとちがう

練習の途中には、みんなでお茶を飲む時間があったりする。30分くらいずっとしゃべっているので、けっこう長い。

あの先生はああだったこうだった、と八光流の話や、ヤフーのブログの貼り方とか話していた。本当に茶飲み話だった。

お茶の時間が終わっても、この感じはずっと続いていて、ホットカーペットの家電としてのよさや、果ては先生に結婚のご報告などもされていた。色んな話が飛び交っていた。

不自然な位置取りだと思ったら、ストーブに当たってた先生

ストーブも大切、セーターも大切

この日は寒かった。「足の感覚がない」「冷たい」とストーブの前にみんな来ていた。どうも僕の想像していた武術の世界と調子がちがうのだ。

そういえば道着もないが、練習に参加させていただいた。動きやすそうな薄着でいたら、「寒いから着なよ」とセーターを着るようにすすめられた。

途中からセーターを着て投げられているのだが、やはりどうも僕の知ってる武術っぽくはないのだ。


みんな各々資料のコピーを持っていたりするのも武術オタクっぽい

指圧もやっている

ところでこの八光流柔術は、経絡という東洋医学の考え方が技の中に組み込まれているので、指圧もやるそうだ。

まだ時間も余ってるしせっかく来てくれたんだから、指圧もやってあげますよ、と気のいいみなさんに声をかけていただいたが、みんな練習してるときに揉んでもらうのは気がひける。

だがいやいやいやと言ってる間もなく指圧がはじまった。ほら!はずかしいじゃないですか!


やめてー、はずかしい、はずかしい

効いてるからこそ、こういうの恥ずかしいです

背骨入りまくりの私のボデー

「この人、背骨入りまくるよ!」

え?なにそれ?いいの、悪いの?よくわからないがとにかくはずかしい。公衆の面前で背骨入るまくるかどうか発表するのはやめてー!

「あららなんだこれは」「すごいねー」「全く運動してないでしょ?」あきらめの溜息がもれ聞こえるなかでわっしわっし指圧されていく。

効く、効いている。多分、背骨入りまくっているのだろう。そしてこのパブリックなスペースで効いてることがなお恥ずかしさを加速させるのだ。


「この一番右の交山先生、人を生き返らせてるんだよ」ちょっと待ってください?

火の鳥みたいな先生がいた

古川先生が「一番右の先生、人を生き返らせてるんだよね」と言う。へー、で聞き流しそうになったが、なんですかそれ?

「親戚のばあさんが倒れて、お医者さんが死亡診断書を書いたあと、よし、じゃあ何やってもいいな、と指圧したらばあさんが生き返っちゃったんだって。」

北斗の拳かと思ったら今度はドラゴンボールの世界だ。こういう武術の世界のえらい人はやっぱり一線越えた週刊少年ジャンプみたいなとこにいたりする人がいるのだな、と感心した。


先生、泡盛ってなんですか?「ハンドルネームっていうか、まあ遊びだよね」なんかゆるいのだ

スズメバチを竹で落とす先生

ちなみにその交山先生はき尺八用に竹をとりに行った日のこと、スズメバチの群れに襲われたので竹で一匹一匹落としていったそうだ。

その時の交山先生には「スズメバチの顔が仮面ライダーみたいに大きく見えた」らしい。もうたくさんだ。おもしろエピソードは一人一つまでにしてほしい。

牛殺しの異名をとる空手の達人のように、「スズメバチ叩き」という異名を名乗れる。その上、「人生き返らせ」という異名まで引っさげているのだ。

この先生は戦後の道場破りが流行した時期に、挑戦者を追い返していたそうだ。そりゃそうだろう。「スズメバチ叩き」に「人生き返らせ」だ。勝てるわけがない。


先生の携帯いつも新しいですよね!と冷やかされる先生

武術マニアの集まり

しかしさっきからどうも武術っぽくない。なんかイメージしてた武道ってこういうのだっけな?という気がしてくる。

そうだ、ここには大きな声を出してる人がいない。

「ただの武術マニアの集まりだから(笑)」と道場生の篠原さんは言っていたが、たしかにそんな雰囲気だ。何かの武術を経験してからここに来る人が多いという。

合気道の段位を持ってる方も道場生だし、古川先生も空手や少林寺拳法などをやったあとで八光流柔術を始めたそうだ。

始めた理由は「運動不足」と即答していた。ふつうのOLさんみたいな始め方をしているが、後に先生になる。


文系の雰囲気

みんな「ふーむ」とか「不思議だなー」みたいな顔をしてて、サロンってこんな感じなのかなと思う。

僕のやっていた合気道ではこういうのがある、とか、居合いではこうでしょ、と色々な武道の話をしていたりする。武術オタクの集まりと自称するのもうなずける。

体育会系なはずなのにどうも文系のクラブ活動みたいな雰囲気があるのだ。


「あー」「んー、かからない」「そっからそっから」「なるほどね」とこの体勢のままふむふむ言っている。そばで見てても何のことかわからない。

狭いですね!と笑ってたら、柔術がおもしろくてついついのめりこんでしまった。道場の雰囲気も意外だった。柔道部というよりは科学部みたいななじみやすさ。ここには菓子パンを食べていても怒られないだろうなと思わせる何かがある。

テレビ番組の中で合気道の達人が人をパタパタ倒していくのを見たりしていたが、こういうことなのかなという端っこの部分はわかった気がする。

投げられても痛いのは一瞬だし、その痛いのも何か笑ってしまうので僕はずっとへらへらしていた。ずっとへらへらしてるセーター着た男がバタンバタン倒されているのだ。武道から相当遠いところに来てしまった。それを許してくれたみなさんの心は広かったなあ。

で、それに比べてあの道場、やっぱり狭かったなあ。

取材協力

八光流柔術遊心会名古屋支部道場 八光流柔術豊橋同好会
https://yusinkai.blog14.fc2.com/blog-entry-7.html

指一本で倒されている場面。僕は、つながりとかじゃなく、腕力だけで倒される自信もある。

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