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ロマンの木曜日
 
あこがれの水星を見たいんだ!


厳寒の中、朝日まで見てきました。

子供の頃、望遠鏡を買ってもらえなかった僕が手にしたのは望遠レンズ。これが意外なほどに、星が撮れる。
このレンズで子供の頃あこがれだった、あの星を撮ってみたい。
強く思った僕は、真冬の筑波山に登っていた。
目標は水星だ。

加藤まさゆき



手持ちのデジカメで天体写真が撮れた

去年の冬のこと。
義父からもらった望遠レンズで月の写真を撮ったら、思った以上にキレイに撮れて、にわかに興奮した。


にょきっと伸び出る違和感が気持ちいい、望遠レンズ。

おおお!すげぇ大きく撮れる!!

ことさらに高級品というわけでもないカメラと望遠レンズだが(すいません義父さん)ものすごくくっきりと撮れる。


北斗七星。肉眼よりもずっとよく見えて、よく撮れる。

このことは、少年時代に星や月の写真を撮りたくても、機材が高すぎて手が届かなかった僕には衝撃だった。

そう、僕は少年時代の一時期、熱狂的に天体観測にはまっていたのだ。
その頃の悲しい思い出を少し書こう。

 

父さんは望遠鏡を買ってくれなかった

理科少年だった僕は、理科の授業で「星座盤」を手にすると、しごく順当に天体観測に夢中になった。
星座や一等星の名前を片っ端から覚え、こづかいで「宇宙のふしぎ」みたいな本を買い回り、家の窓から毎日夜空を眺めるようになった。
月食、日食、流星群、日々飽きることなく星空を観察した。


旧実家の窓。この窓から、毎日夜空を眺めていた。

しかし、肉眼での天体観測には限界がある。
眼で見られる天体現象を観察しつくしたあと、僕は両親に望遠鏡を買ってくれないかと頼んだ。
両親もここ1年ぐらい、僕がどれだけ夢中になっていたかを知っているはずだ。粘り強く頼めば買ってくれるだろうと信じていた。

 

しかし、結果はNOだった

今思い出しても、全く信じられない話である。
子供があれほど強く好奇心を持って続けていたのに、それを伸ばそうとしなかったのである。
TVゲームとかを買ってくれない親だったので、せめて望遠鏡ならば……と淡い期待を持っていたのだが、その期待はイベントのたびに裏切られた。
(と、この原稿を書いていたら、また当時の悲しさが不意に生々しく蘇ってきた)


悲しみにくれて眺めた夜空を思い出す。(ちなみにこれは火星)

というわけで、それ以上何もできなった僕の宇宙への好奇心は、そこでおしまい。宇宙の本も全部なげやって、僕は宇宙科学者になるのをあきらめた。


カシオペア座。見ると北極星を探したくなる。

さて話題は戻って天体写真

とまあ、そんな経緯もあって、望遠レンズの意外な撮影力に気が付いた僕は、昔の不満を晴らすかのように、写真を撮りまわった。さんざん見慣れた星座でも、それを撮れるというのはまた別の楽しさがある。

ひと通り撮り終えたあと、僕はふと子供の頃どうしても見られなかった一つの星を思い出した。

僕は水星を見たかったのだ。


オリオン座。星雲も頑張れば撮れる。
もっとも有名な星団、すばる。目で見えない星まで撮れる

なぜ水星なのか? >
 

 
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