鏡は景色をうつし込むことで周囲に溶け込んでしまう。もし鏡面の缶ぽっくりに乗ったなら、缶ぽっくりは透明の存在となり、ぼくはまるで「ちょっとだけ浮いてる」ように見えるのではないだろうか。
(櫻田 智也)
イメージ
イントロで今回の企画内容が伝わっただろうか。 絵に描くとこういうことだ。
うまくいったら高笑いである。
ミラーシートを貼る
簡便な方法として、ジュースのスチール缶にミラーシートを貼ることにした。
根が不器用というより適当なので、うまく貼れるか不安だ。 とはいえ、この工程が今回のポイント。細心の注意を払って取り組む。
細心の注意を払った結果、「地味に汚い」という面白くないし嬉しくもない結果に落ちついた。
缶ぽっくりにして完成
缶ぽっくりにすべく、穴を開けてヒモを通す。
ついに人類は怖ろしいものを手に入れてしまった。 これに乗ればぼくは「ちょっとだけ浮いてる人」である。 まあヒモは見えているので、「ヒモを持ってちょっとだけ浮いてる人」だ。 『Oh! 透明人間』の主人公も目玉は見えているわけで、要するにそのへんは問題ない。
ヒモを持ってちょっとだけ浮きます
というわけで、おもてにでて「ちょっとだけ浮く」実験である。
いろんな所で撮影しようと思ったのだが一面の雪景色。どこへいっても白い場所しかない。ホワイトクリスマスにも程があった。 停電で仕事に影響でるし、テレビは2日間NHKとTBS系しかうつらないし、峠は木が倒れて通れないし、携帯電話もつながらないし、2日ぶりにつながったと思ったらぜんぜんメール来てないしで、なかなか困った。
ともあれ、この缶ぽっくりを試してみよう。
なんでやのん。スチール缶言うてたやないの。 続行不可となり、あわてて帰宅し別の缶ぽっくりをつくった。
つくりなおし
ラベルをとってホイルを巻いた上に、つぶれた缶からひっぺがしたミラーシートを貼りつける。大きさは足りないが、ないよりはマシになるはずだ。とほほ。
再開
というわけで再チャレンジだ。 雪が積もる中、今度こそ浮いてみる。
いや待て、思いっきり目を細めてみてほしい。なんとなく浮いているようには見えないか!?
地面が雪というのがよくないのだろうか。 外は町内どこへでかけても白一色なので、しかたなく屋内で検証することに。 ちなみに写真2枚目にして既にヒモを手ばなしているので、この時点で既に缶ぽっくりではなくなっている。
公民館の入口に立ってみると、ぱっと見、浮いてる感がでた。 下が濡れて光っており、缶の光沢と似た質感になっているため、うまい具合にまぎれたのではないか。 これは期待のもてる結果だ。
試しにものすごいスピードで瞬きをしながらこの写真を見つめてほしい。何かの拍子に浮いているように見えることもあるはずだ。 あと首を左右に振りながら見るとかも有効だ(いま試した)。
浮いているとか浮いていないとか、そんな水掛け論はやめにしようじゃないか。 「高い場所の本がとりやすい」という事実だけを今は素直に受けとめる。
というわけで試してみたものの、
ちょっとした思いつきを試してみる。そんな原点に立ち返った企画ではあったのだが、微妙な記事となってしまった。やはりちゃんとした鏡を使わないと無理だったのか。
というわけで今年もいろいろありました(めげない)。みなさま良い新年を迎えられますよう。