世の中いろんなうどんがあるが、僕の好きなのは武蔵野うどんだ。
あの関東ローカルのうどんを、関西の人に食べてもらったら一体どんな評価が下るのだろうか。
(斎藤 充博)
武蔵野うどんと俺
武蔵野うどんとは、関東地方の「武蔵野平野」のあたりで出来たと言われるうどんのことだ。
武蔵野うどんの具には、大量の長ネギ、豚のバラ肉、油揚げ、ナス、それからシイタケやシメジなどのキノコ類などが入っている(全ての具が入っているわけではなく、店舗・メニューによって具は違う)。どれも味が強くて香りのある食べ物ばかりだ。
汁はカツオだしと醤油が主体。とても濃くて、汁は真黒だ。普通のうどんの様に、「汁を飲み干す」のは不可能である。そこに豚のバラ肉から溶け出した脂が加わる。
武蔵野うどんは麺も凄い。大きな特徴が二つあって、「全くツルツルしていない」(店によってはゴワゴワしている)と「力強いコシがある」ことだ。
「コシのあるうどん」なんていうと讃岐うどんが真っ先に頭に浮かぶかもしれないが、武蔵野うどんはゴワゴワしているために、食感が全く違う。麺類なのに、すすりにくい。僕は、ガツガツとかき込むように食べる。
武蔵野うどんを食べるとまず「小麦粉の味」を感じる。
「麺から小麦粉の味を感じる」なんて、一体どんな食通の発言か、と思うかもしれない。しかしここが武蔵野うどんの特徴で、とにかく小麦粉くさいのだ。これだけ濃い味の汁に付けているのに、まだ麺の味の方が強い。恐らく誰が食べても「麺から小麦粉の味がする!」って言うと思う。
僕は3年前くらい前は会社員で、埼玉県北部を営業担当として回っていた。埼玉県北部は「武蔵野」の地域から微妙に外れているのに、なぜか武蔵野うどん屋の出店が活発だ。
そして、外回りの度にいろんなお店を食べて、面白いことに気づいた。お店ごとに色々な工夫を凝らしているのにも関わらず、だいたい食後に受ける印象が同じなのだ。これは多分「武蔵野うどん」という形式が強すぎるからじゃないかと思う。
長々とここまで語らせてもらったが、言いたいことは二つだ。
・武蔵野うどんは変わっている ・俺は武蔵野うどんが好きでたまらない
以上を踏まえて今回の企画を説明します
そんな武蔵野うどんを関西人に食べてもらって、どんな反応をするかを見てみたい。協力してもらうのは大阪在住ライターの尾張さん。「武蔵野うどん」という言葉自体初耳だそうだ。
大阪には大阪の上品なうどん文化がある。あれはあれでうまい。その文化に慣れ親しんだ尾張さんに武蔵野うどんをうまい、と言わせたい。