近頃は12月というのに暖かく、散歩するにはちょうどいい。 前回は真夏の埼玉という悪条件だったが、今日は心地よく「見てきた」ができるのではないだろうか。 ということで、久しぶりの見てきてジャーニーに行ってきた。
(工藤 考浩)
見てきてジャーニーとは? 「ちょっと見てきて」のなかで、なかなか見てきてくれないところを、デイリーポータルZのライター陣が旅をしながら見てくる企画です。
家族の思い出
まず最初に、お父さんにつれられていったという動物公園のインコに会いに行ってみよう。
子供の頃よく父親に連れて行ってもらいました。 「オハヨウ!!」としゃべるインコは今も元気でしょうか? このインコが好きで、行けば必ず挨拶しに行ってました。 ちなみに指を噛まれた事もあります。痛い思い出もありますが・・・見てきてくれたらうれしいです。
なんとも幸せな「見てきて」である。 僕は行ったことがないが「夢見ヶ崎」というのはきっと町の公園にあるような小規模な動物園だろう。 そこへ休みの日に、「インコが見たい」とパパにおねだりして、一緒にお散歩した思い出。 パパにとっても娘が(いま勝手に娘にした)「オハヨウ!!」とインコに話しかけている姿は、まぶたに残る思い出だろう。
思い出が勝手に膨らむ
インコに手をかまれて「パパ、いたい!」と泣いてしまい、帰り道はパパにおんぶしてもらった。 そんな空想をしながら夢見ヶ崎へと向かった。
駅前には高層マンション
この思い出が何年前の出来事かわからないが、そのころはきっとこの高層マンションはなかっただろう。 ベランダには小さな子供の洗濯物が見える。 ファミリー層が多くすむマンションのようだ。 ずいぶん大きなマンションだけど、この一部屋一部屋でも、きっと投稿のような思い出が作られているんだろう。 窓ごとに幸せがあるのだ。 そう考えると、他人の幸せな思い出の場所を訪ねるまえに自分のことをなんとかしろ、と思わなくもないが
丘の上の公園
少し歩くと、動物園入り口を示す看板が見えた。 動物園はこの丘の上にあるらしい。 矢印の先には階段が続いている。 上ってゆくと、なかなか息の切れる階段だ。 足取りが重い。 僕がパパだっら、子供に手を引かれながら上ることになるだろう。 子供は若いうちに持った方がいいなと思ったが、もう手遅れか。
公園に到着
なぜか沈んだ気持ちになりながら階段を上り終え、動物園へと到着した。 公園管理人の人たちが落ち葉掃除をしている。
もっと小規模な動物園かと想像していたが、シマウマやシカやペンギンなどがいて、見どころはたくさんある。 他にもたくさん動物はいるのに、インコが見たいというのもかわいらしいエピソードだ。
天国へ
冬の平日なので、動物園を訪れる人は少ない。 少し暇そうな動物たちを見ながら歩いていると、献花台がおかれた檻を見つけた。 レッサーパンダが死んだようだ。
鳥類展示ひろば
その先に、ちいさなゲートのついた広場があり、キーッキーッという鳴き声が聞こえてくる。 きっとここが鳥を展示している場所だろう。
広場の中央に、六角形をした檻があった。 そのなかに明るい色の鳥が見える。 インコはここにいるようだ。
健在でした
ありさんが見たインコと同じものかはわからないが、数種類のインコやオウムが檻の中で元気に鳴いていた。
話しかける子供も
久しぶりにインコを見たが、ちょっと小首を傾げるような仕草がかわいらしい。 子供の頃は少し怖いイメージを持った記憶があるが、艶やかな羽の色と裏腹な鋭い目とくちばしは、大人になった僕には魅力的に映る。 「オハヨウ」という声に振り返ると、小さな男の子がずいぶん遠くからオウムにあいさつをしながら駆け寄ってきた。
その子供の声に答えて、檻の中の一匹が返事をした。 「オハヨウ!!」 子供は満面の笑顔でおじいちゃんを振り返った。 おじいちゃんは笑い返し、僕も笑った。
偶然入った中華料理店がうまい
少し歩いたので、空腹になった。 たまたま通り沿いにあった中華料理の店に入ったところ、ランチメニューに「牛タンとインゲンの炒め」というのがあった。 食べたことのない料理だったのでそれを頼んだのだが、とてもおいしかった。。
公園で楽しそうな子供を見て、ちょっといい気分になっていたところにおいしいご飯。 いい日というのはこういう日のことなのだろう。