部屋に椅子がない。もともと、椅子がない部屋で4年弱、床に座ったりベッドに座ったり、むしろ常に寝転がったりして暮らしていたのだが、このたび少し広い部屋に引っ越したところ、椅子のなさが際立っている。椅子がほしい。椅子がほしい…。 そう思っていたとき、「あ、これぴったり!」と思う椅子を見つけてしまった。 ハンバーガーショップで。
(田村 美葉)
マクドナルドの背もたれは、ある種の発明
ハンバーガーショップで、とか勿体をつけて書いてみたが、何を隠そう、その素敵な椅子があったのは、マクドナルドだ。それがこちら。
座りやすさ:
ちなみにコーヒー、ってなにかというと、タダで写真だけ撮ってくるのもあれなので、各店舗でいちばん安いコーヒーを頼み、貧乏根性からいちいち味わってしまったので、ついでに項目に加えてみた。各ハンバーガーショップの椅子バリエーションとともに、いちばん安いコーヒー飲み比べをしてみたいとおもう。
フレッシュネスはなぜ、こんなにオシャレなのか
上京するまで、私にとってのハンバーガーチェーンといえばマクドナルドと、そのカウンターとしてのモスバーガーだった。フレッシュネスバーガーを知ってからというもの、そのオシャレっぽさにすっかり感化され、「ハンバーガー?フレッシュネスでしょ、やっぱり」という時代があったことをここに告白しておく。
椅子と全然関係ないキャプションをつけてしまったが、オシャレである。椅子だけ見ているのに、「ああ、フレッシュネスだね」とわかってしまう、上京直後の浮かれた私をとりこにした洗練がここにある。代官山とか目黒で買うかんじの家具だ、これは。
そもそも狙ってもしょうがないことなのだが、それは置いておいても、こういう家具を置くとしたら、さらにもうひと部屋くらいはあるところに引っ越さないといけない。ジレンマである。
実家の温もり、モスバーガー
以前、地元である金沢から、さらに電車で1時間くらいの能登のほうから通っていた同級生が、「モスバーガーは田舎の味方だ」と言っていた。彼の地元にはマクドナルドはなくて、モスだけが頼りだったという。コンビニでいう、サークルKみたいなものだろうか。
かたちとしてはフレッシュネスとそんなに変わりないのに、あふれ出る実家ぽさはなんだろう。すぐ近くで母と同じくらいの年代の女性たちが子どもの結婚にまつわる話をしていたせいかもしれない。ああ実家。
ファーストキッチン
つづいてファーストキッチンである。ハンバーガー以外に、パスタなどのメニューが充実しており、他のチェーンに比べても女子率高めのここでは、フレッシュネスほどイケイケではないものの、椅子もなかなかオシャレだ。
寝台列車とか、コンパクトなビジネスホテルのシングルルームのような、「狭いながらも計算された空間設計」がされている場所って、広くて洗練された場所とはまた別の魅力がある。ファーストキッチンの一人用カウンターは、そういう感じの落ち着ける空間だ。机と荷物置きの関係が良い。
ロッテリア
ロッテリアといえば、「コアラのマーチシェーキ」などの独自展開で、上京したての私にまたある種の衝撃を与えたチェーンである。そして立地の関係からか、今回調査したなかで最も混雑していた店舗。
たしかに混雑しているし、たしかに「狭いながらも計算された空間設計」がよいと先ほど書いたばかりだが、これは。ハンバーガーショップというよりも、漫画喫茶とか、ひとり黙々と食べるラーメン店に近いものがある。あまりに複雑な座席配置となっているため、お店の方が一名、座席案内係として立っていた。なにがなにやら。
やっぱりマクドナルド、次点ファーストキッチン
繁華街を歩き回り、コーヒーをがぶ飲みし、本を5冊くらい読み終わった、ハンバーガーショップ・インテリアめぐりだが、やっぱりマクドナルドの椅子がいちばんいいなぁ、という結論に。しかしそういう結論になっても、べつに買えるわけではないのでこれぞ徒労というやつである。次の週末は自由が丘か代官山にでも行きたい。