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はっけんの水曜日
 
宇宙で一番長くてくわしい宙博2010レポート

まさかの社長かける×2インタビューにびびる。

宙博の主催者にインタビュー

さて、ここまでで宙博2010がどんなイベントが判っていただけたと思う。最後のページでは宙博を運営している株式会社ナノオプト・メディアの社長である藤原洋さんと、宙博をデザイン面からプロデュースしているS2株式会社の迫村裕子さんにお話を伺った。

余談だけど、取材にあたって編集部の石川さんに送った質問メモがそのまま印刷されて迫村さんの前にあったのを見たときは凍った。なんでかというと、かなり雑に書いてあったから。

松本(以下松)「宙博を始めることになった経緯について教えてください」

藤原さん(以下藤)「子供の頃から宇宙に夢を持っていて、大学の専門分野が宇宙関係(京都大学で宇宙物理学専攻との事)だったんですね。その夢を叶える道は色々あると思うのですが、結果的に私は経営者になりINTEROP(インタロップ)というイベントに出会いました。

松「インタロップですか。」

藤「インターネットのイベントなんですが、去年の8月(2009年8月)に運営会社がインタロップを手放す事になり、私の会社で譲ってもらったのがそもそもの始まりになります。という事は、イベントをやる部隊が味方になったわけです。宙博をやる素が出来たと。」

松「なるほど。」

藤「それでインタロップの様なノリで宇宙をやろうと。せっかくイベントを出来る専門部隊が来たので、なにか燃えるようなテーマはないかという事で宙博をやることになりました。それまでは宇宙への想いだけだったけど、イベントを運営する部隊が味方に来たというのが一番です。」

なるほど。想いとイベント運営能力が結びついての宙博開催だったのだ。それにしても去年の8月ですか。でも確か、宙博2009って12月でしたよね。


楽しそうな迫村さんと藤原さん。

4ヶ月で作り上げた宙博2009

で、宙博をやることになってそれからが大変だったそうだ。なぜか?時間が無かった。

藤「去年は世界天文年だったわけです。ガリレオが地動説を発見してから400年の記念ですね。その年のうちに、宙博をやるぞと言うことを決めたわけです。」

松「あんまり時間ないですね。」

藤「インタロップの部隊がわたしの会社に8月に来て、来たらいきなり12月に宙博やるぞと。時間はないけど、12月までにやる必要があった。世界天文年中にやるぞと。」

松「よく出来ましたね。」

藤「簡単にできたわけじゃ無いんですよ。JAXAや天文台の全面協力が必要なんですね。国立天文台の台長やJAXAの理事長とは縁があり、連絡すれば協力してくれる事になっていて、国立天文台とJAXAが全面協力する事になっていたんですよ。」

迫村さん(以下迫)「それが大きいんですよ。」

松「よく短期間でそれだけ話がまとまりましたね。」

迫「それは今までの蓄積、実績がおありになったと、それ以外は考えられないでしょうね。普通これだけのイベントを3ヶ月で立ち上げるというのは出来ませんよ。」

日本で宇宙開発に関わる人は、大体国立天文台とJAXAに関わっているという。だからその二つの協力を得られるという事は、国内の宇宙開発人みんなの協力を得られる事になるわけだ。

そういう人間関係、コミュニティがあったことも宙博実現には大きかったようだ。そりゃ僕がいきなり宙博やろうって言っても出来ないだろう。誰に頼んだらいいかも判らない。


宇宙ネクタイかわいい。

大赤字でも社会的意義があればやる

藤「あと大事なのは赤字出したら責任を取ると言うことですよ。」

松「赤字なんですか?」

藤「大赤字ですよ去年なんか(笑)。それでもみなさん喜んでくれたんでね。今年は多分赤字幅は減るでしょうね。でもね、今時赤字でもやる、というのが重要なんですよ。」

松「重要ですか。」

藤「やっぱり社会的に意義のあることをするのが重要で、利益は目的じゃないんですよ。経営理念として。ただ、赤字だけじゃ続けられなくなるのでどこかで黒字にはしますよ。」

かっこいい。利益が目的ではなく、社会的意義がある事業をするのが一貫した経営理念と語る藤原社長。惚れてまうやないか。


ナノオプト・メディアの成岡さんも横で待機。

宙博の独自性と多様性

迫「宙博は環境、宇宙、天文、エネルギーなどを並列的に囲って、それぞれの最先端を見せていく。バラバラではなく関係性を見せるという博覧会は宙博が唯一だと思いますよ。そこが大きな特徴です。」

藤「我々はサイエンスからインダストリーまで一貫した流れを作りたいんです。基礎科学に対する理解がないとインダストリーは生まれないし、事業仕分けのように短期的な見方は良くないですよというメッセージも出しているつもりです。」

迫「それから宙博の特徴は多様性です。まず、展示物の多様性。先端の研究機関から企業から、いろいろな人たちの展示物が一つ。そしてお客さんですね。幼稚園生から80歳以上の人もたくさんいらして、サラリーマン風の人も主婦もいらっしゃるんです。お客さんのターゲットが絞られてないんです。」

藤「お客さんのターゲットを絞っていないのは、採算を考えていないというのもあるんですけどね。短期的な利益は追っかけてないんですよ。」

たしかに、他の科学系イベントだともう少し堅い感じになっているし、展示物ももう少し一貫性がある。が、多様性は進化を生むという事を考えるとこのアプローチは間違っていないように思える。


シロクマ可愛い。
多様性の一つ。幼稚園児からお年寄りまで様々なお客さん。

これがヒータン博士です。

インタビューは終始和やかに進行。

宙博キャラクターについて

宙博キャラクターについても聞いてみた。

松「宙博キャラクターの、ヒータン博士は藤原社長がモデルと伺ったのですが。」

迫「ほら、ちょっと似てらっしゃると思いません?髪の毛長いかしら。」

藤「昔こんな格好してたけど。」

迫「そしてこの3人(宙博キャラクター)、Twitterでもつぶやいてるんですけども、ニセソラちゃんまで出てきまして。これが意外な人気で、本物のソラちゃんとニセソラちゃんがいるというのでTwitterが妙に盛り上がっているんですよ。ニセモノが出ると凄いですよね。」

藤「ニセモノがでたら成功ですよ(笑)」

ニセソラちゃんか。これも多様性の一つだろう。

今後の宙博について

藤「やってみたら、子供を中心にしたお客さんもそうだけどイベントをする側、研究者の評判も良かったんですよ。ならまたやるかというので、最低10年はやるというのを去年決めました。」

松「10年ですか!それは楽しみです。会場は変わったりしますか?」

藤「去年東京国際フォーラムでやって、今年はここ科学技術館でやりましたが、こちらの方が宙博には向いているかなと思いました。でもまたわかりません。」

今年の宙博も楽しかった。来年以降も開催されるという事で、今から楽しみで仕方がない。2020年の宙博では、はやぶさ2の帰還記念講演が聞けちゃったりしてね。

 

ニセソラちゃんにインタビュー

会場でもTwitterでも見かけて、インタビューでも出てきたニセソラちゃん。Twitterアカウントはあるのだからコンタクトを取るのは簡単だった。メールアドレスは判らないけど、相互フォローしてればダイレクトメッセージを送れる。という事でメッセージを送って取材させてもらった。

捨てアカウントを取るからメッセンジャーでどうぞ、という事なのでそのログを一部編集して載せたいと思います。


Twitterで入手したニセソラちゃんのアイコン画像。

松「こんにちは、よろしくお願いします。」

ニセソラちゃん(以下ニセ)「あんまり面白い事言えないと思いますがよろしくお願いします。」

松「普段の慇懃な感じで結構ですよ。」

ニセ「あらそう。」

松「どうしてニセソラちゃんを始めたんですか?」

ニセ「去年の宙博の時にソラちゃんがツイッターで質問を募集して回答してたのよ。でも宙博が始まったとたんにツイッターでの活動をやめちゃって。これはもったいない!と思ったあたしが勝手に引き継いだわけ。」

松「勝手にですか。」

ニセ「そう勝手に。」

松「ニセソラちゃんは宙博関係者なんですか?」

ニセ「違うとも言えるし関係者とも言えるわね。宇宙規模で考えたら全員関係者じゃない。」

松「うまいことはぐらかされた感じです。」

ニセ「ふふん。」

松「他の宙博キャラとは仲良いんですか?」

ニセ「そうね。ソラちゃんとは良い関係よ。ヒータン博士はあまりつぶやかないからよくわからないわ。宙博も終わったし、またアルファ・ケンタウリの方に帰るんじゃないかしら。」

松「宙くんとはどうですか?」

ニセ「宙くんはあたし以上に自由なつぶやきで驚かされたわ。宙くんはあたしの天敵として宙博事務局が送り込んだ刺客じゃないかと思っているの。」

松「被害妄想っぽいですね。」

ニセ「あんたも事務局の手先?!」

松「いや、そういう事では。」

ニセ「まぁいいわ。」

松「今回の宙博はどうでしたか。」

ニセ「会場も広くなって展示も増えて、去年の文化祭みたいな雰囲気からガラッと変わったわね。」

松「文化祭て。また凄いこと言いますね。」

ニセ「進化を褒めてるのよ。でも混雑は相変わらずで日曜日はずっと地下にこもってたわ。」

松「Twitterずっと見てましたが、3日間行ってたんですか?」

ニセ「そうね。今年は運良く招待券もらったので3日間ずっと行ってたわ。講演が聞きたくて。展示は金曜に大体見ちゃって。」

松「講演面白いですもんね。」

ニセ「宙博は講演が面白いのよね。聞かなきゃ損よ。」

松「宙博終わってもまだニセソラちゃん続けるんですか?そういえば10年は宙博を続けたいって聞きましたが。」

ニセ「もちろん続けるわよ。10年だって20年だって、ビッグリップが起きるまで続けるわよ。」

松「1000億年後までですか。Twitterは無くなってると思いますが。っていうか地球がない。」

ニセ「ツイッターだけが全てじゃないわよ。これは言ってみれば生き方のジャンルなのよ。」

松「キキのコスプレした櫻田さんみたいな事言いますね。」

ニセ「ああ、あたし櫻田さんのファンよ。デイリーポータルZ読んでるわよ。」

松「え、そうなんですか?ありがとうございます。僕の記事とかどうですか?」

ニセ「松本さん?あなたの記事は・・・・うーんと。そうね、がんばんなさい。」

松「はい。」

ニセ「頑張れ。」

松「じゃあ今回はこの辺で。ありがとうございました。」

ニセ「あら、もう終わり?またなんかあったら連絡ちょうだい。捨てアカウント取っておくわ。」

Twitterで見るとおりのキャラクターのニセソラちゃんでした。これからもTwitterで活動を続けるそうなので、興味ある方はフォローしてみてはいかがでしょうか。

来年の宙博も楽しみです

火星の景色を背景に記念撮影。

今年の宙博も楽しかった。知的好奇心くすぐられまくりの3日間だった。写真も1,000枚、3.6GB撮った。

1回目の宙博と比べて会場面積で2倍のスケールアップを果たし、入場者数も3万人を超えた。4ページにわたって書いてきたが、これでもホンの一部でしかない。本気で書いたら本1冊書けちゃうし、書くのに1ヶ月くらい掛ってしまう内容だ。

その内容を3日間でダーッと経験できてしまう宙博というイベントの濃さ、内容の多様性はやはり凄い。逆にいうとごいすー。

来年の宙博も今から楽しみだ。開催の日まで、宙博キャラクターのTwitterに注目したい。


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