前に見たテレビ番組で藤岡弘、さんが若手芸人にコーヒーをふるまうという企画をやっていた。藤岡さんは丹念にドリップしたコーヒーが器にたまると、おもむろに茶せんを取り出し猛烈な勢いでコーヒーをかき回したのだ。泡立ったコーヒーはマイルドになり、おいしくなったと番組では紹介していた。
抹茶を立てる時に使う茶せんを、コーヒーに取り入れるとは、さすがリアルラストサムライを地で行く弘である。
他にもそんな藤岡スタイルでうまくなる飲み物はあるのか、調べてみることにした。
(榎並 紀行)
そもそもそれはうまいのか?
しかし、である。そもそも茶せんでかき混ぜただけでコーヒーの味が変わるのか? 幾分疑わしく思ってしまう自分もいる。まずはその藤岡コーヒーを飲んで味を確かめてみる必要がありそうだ。だがあいにく僕は藤岡弘、さんの連絡先を知らない。
だが調べてみたところ、鎌倉にそんな藤岡スタイルのコーヒーを出している茶房があるという。早速現場へ足を運んでみた。
店の名前は「土遊食楽 紫穂の里」。地図によると確かにここなのだが、調べてきた店と名前が違う。なぜだろう。
とにかく入店してみよう
閉店の1時間前ということもあって、客は僕以外誰もいない。ゆっくり藤岡コーヒーを味わえる。
だが、メニューにそれらしきコーヒーが見当たらない。「鎌倉大仏ブレンド珈琲」というのはあったが「藤岡弘、コーヒー」はどこにもないようだ。
そこで店員さんに「ここに、茶せんでかき混ぜて飲むコーヒーがあると聞いたんですが…」と尋ねてみた。藤岡さんの名前は伏せることにした。
おお、これだ。テレビで見たものと同じく表面が抹茶のように泡立っている。陶器の茶碗でいただくところも藤岡コーヒーと変わらない。立ち上る高貴な香りに気持ちが凛としてくる。
藤岡さんが住む世田谷方面に一礼し、心して一服いただく。
店員さんによれば「おうす風珈琲」は砂糖を入れずに飲むのが普通らしい。個人的にコーヒーは甘い方が好みなのだが、これはふんわりきめ細かい泡が苦みをマイルドにしているので僕のような子供の舌にも飲みやすい。泡がなくなってから飲んでみたらちゃんと苦いコーヒーだったので、やはり泡の存在が味をやわらかく仕立てているようだ。具体的にいうとカフェオレくらいのマイルドさ。
後で店員さんに聞いたところによると「おうす風珈琲」は、この店の前オーナーが考案したものらしい。人気メニューだったので現オーナーに変わってからもそのまま引き継がれたそうだ。もしかしたらその前オーナーが藤岡弘、だったのかもしれない。
様々な飲み物を藤岡スタイルに
さて、茶せんでかき混ぜて味が変わるのはコーヒーだけなのだろうか。茶せんに味をマイルドにする効果があるなら、他の飲み物でもぜひ試してみたい。
9飲料+藤岡スタイル
今回、藤岡スタイルに挑戦するのは以下の面々。いずれも個性豊かなメンバーである。