ペンキ書きの案内板、と言って分かってもらえるだろうか。 右を見て欲しい。この昭和の香り漂う、IT時代に逆行した案内板のことだ。東京都内の随所に設置されているが、これを見ると逆に道に迷う、というジンクスが僕にはある。なぜなのだろう。 今回は撮り集めたペンキ案内板を徹底的に研究し、Web地図を比較してその正確さを検証してみた。
(加藤まさゆき)
もう一度ペンキ案内板を説明します
今回の記事で僕が取り上げたいのは、以下のような、パソコンで作られた小ぎれいな地図ではなく、
ましてや、地方自治体が設置している正当派な案内板でもなく、
以下に示すような、ペンキ書きの案内板である。
駅前に限らず都内の随所に設置されており、子供の頃から僕を惑わせてきた。僕はこれを見ると必ず道に迷う。なぜ迷うのだろうか。 ぼんやりと原因は分かってはいたのだが、これを明らかにするために、ここ半年ぐらい、都内で案内板を撮りためてきた。その結果、主要な原因は以下の3つに集約されるのではないかと気がついた。 以下で説明していきたい
1・現在地が書かれていない
普通、案内板の中央には、こういう現在地が書いてあるのだけれど、ペンキ案内板には書いてないことが多い。もしくは書いてあっても分かりづらい。
下に示すのは、JR飯田橋駅の近辺に設置されているペンキ案内板だが、この地図のどこに現在地があるか探してみてほしい。
正解は地図の右下のすみっこの方、青矢印と赤字で示してある。 表記は「現在地」ではなく、「本ヅ」である。すごいインパクトだ、「本ヅ」。 しかも、付近を流れている神田川が青色で書いてあり、青矢印と神田川の違いが一瞬には分からない。 とまあ、このように現在地がかなり分かりづらく、知らない土地で見ても、そもそも自分がどこにいるのか分からないので、なかなか参考にならないのだ。
2・北が上を向いていない
普通、知らない土地に行くときには、事前に地図で一覧するが、そのとき見る地図はたいてい北が上だ。しかしこの案内板は、通りに合わせて、変に斜めに置いてある。 気を利かせてなのだろうけれど、これが事前に脳内で構成してきた地図情報と齟齬をきたし、僕を混乱におちいらせるのではないだろうか。
3.スポンサーっぽい商店名が無意味にでかい。
製作費のスポンサーとなったであろう商店の表示がやたら大きいのも、この案内板の特徴だ。
例えば左の案内板は、渋谷駅近辺で撮影したものだが、付近にもっと公用性の高い建物はいくらでもあるはずなのに、「清水とき・きものアカデミア」と「公文式」のアピールの強さがすごい。公文式にいたってはロゴまで丁寧に再現されている。
と、これ以外にもいくつか気がついた「迷う理由」はあるのだが、その前に、たくさん観察しているうちに発見した面白い点を、次のページで紹介していきたいと思う。