缶やパックの飲み物によく書かれている「よく振ってお飲みください」の文字。私たちはいつも、言われるがままによく振ったり、よく振り忘れて後悔したりしている。
しかし、だ。敷かれたレールの上をたどることだけが人生か?違う。振れって書いてあっても、別に振らなくてもいいじゃないか。振り忘れるのではなく、自分の意志で振らないことで、見えてくるなにかがあるのではないか。
(text by 石川 大樹)
「わざと振らない」という選択
「わざと振らない」という選択。反骨精神にあふれたかっこいい生きざまであると思う。
ただ、我々はしばしば臆病だ。振らないことで、せっかく買った飲み物がひどく不味くなるかもしれない。そんな恐怖に駆られて、結局よく振ってお飲みしてしまうのだ。
反骨したい、でも美味しいドリンクも飲みたい。そんな葛藤にさいなまれながら、いいことを思いついた。振らずに飲むとどうなるか、事前に調べておけばいいのだ。
10種類用意した。(この写真を数えないでください)
よく振らなかったらどうなるのか
ということで、「よく振ってお飲みください」系飲料(一部例外あり)を10種類、用意した。
用意するにあたって、スーパーを巡りながら「これも振らなきゃいけないのかー、へー」的な発見があるかと思われたが、調べてみると当サイトの先輩ライターであるところの古賀さんが3年以上も前に通った道であった。もちろん今回は喜んでそのレールに乗っからせていただいた。すでに反骨精神のかけらもない展開だが、おかげで買い出しが15分で済んだ。持つべきものは先輩である。
「開缶前によく振ってください」。ジョージア BLACK
スコールは「乳系なのに振らなくていいのか!」と思い買ってみたのだが、よく見たら炭酸飲料であった。当たり前だ。
いつもは見えない変化を白日の下に
すべての飲み物を、透明のコップに注いでいく。本当によく振らなきゃいけないのであれば、このまま数日おけばなにか変化が起きているはずである。
普段は紙のパックや缶に入っていて見えない変化を、透明のコップに入れることで変化があらわにしようという狙いだ。
てっきり黒いと思っていた黒酢ドリンクが全く黒くなかったのには「なぬっ」と思ったが、いろんな色のドリンクが並ぶにつれて、だんだん机の上が華やいできた。