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はっけんの水曜日
 
オールナイトでだるま市


“だるま”で有名な群馬県高崎市では毎年、で夜通し開催される超大規模な「だるま市」が行われているらしい。

ボクは群馬県出身なので、そういう行事がやっているということは知っていましたが、実際には行ったことがありませんでした。でも、夜通しでやるだるま市なんてちょっと楽しそう……ということで今年は参加してみました。

(絵と文:北村ヂン



オールナイト開催されるだるま市があるらしい


ボクは群馬県出身なのですが(ライターの乙幡さんも群馬県出身ですよっ)、まあ正直あんまりメジャー感のある県ではありませんよね、群馬って。

一応、戦後の総理大臣を最も多く輩出している県だったりはするんですが、いまひとつパッとした特徴がないというか……地味な印象がぬぐえない県です。

そんな群馬県において、比較的知名度の高い特産物といったらやはり“だるま”ではないでしょうか。どっちかというと“だるま弁当”の方が一般的には浸透しているような気もしますが。


群馬県民のソウルフード・だるま弁当

ま、とにかくそんな“だるま”をガンガン売りまくるお祭り「七草大祭だるま市」(通称「高崎だるま市」)というのが群馬県高崎市の少林山達磨寺で毎年1月6日、7日に開催されています。

しかも「6日と7日」に開催されているのではなく、「6日から7日にかけてぶっ通しオールナイト」で開催されるという、まさに日本最大級のだるまフェスだということです!

……が、意外とこういうのって地元に住んでると興味がわかないもんで、実はボク一回も行ったことがないんですよ。そんなことでは群馬県出身者失格じゃないか!? ということで今回は取材にかこつけて、夜通しだるまを売りまくるこのお祭りにオールナイト参戦してきました。

ほいっ、終電で高崎駅にやってまいりました。なんと到着時刻は午前1時37分。こんな時間まで電車走ってるんですね。

ちなみに、群馬県民にとっては常識ですが(?)高崎駅西口を出ると、このようなだるま巨大壁画がズドーンとそびえ立っています。さすがだるまの街!

群馬に住んでいた頃はただの風景として特に気にも留めていなかった巨大壁画ですが、よくよく見てみたら相当インパクト強いですね。なんと言いますか……グッチャグチャになっただるまがいっぱい……。

とにかく、これだけだるまを前面に押し出している高崎、そこで行われるだるま市とくれば、さぞかし盛り上がってるんだろうな、と思ったら。

えーっと……駅前はものすごーく閑散としています。

ま、まあ会場である少林山達磨寺は駅から結構離れていますからね。さすがに駅前まで祭りの熱気が届いていなくてもムリはありませんよねっ、ねっ!

それでは、ここからはタクシーで移動となります。

この日ばかりは深夜に少林山を目指す人が沢山いるということを地元のタクシー会社も分かっているようで、高崎駅から少林山まで2150円という定額料金で走ってくれるのです。

まあ、鈍行なら新宿から高崎まで1890円で来れることを考えると、そんなに安くはないですけどね。

ほいっ、そんなこんなで到着しました、少林山達磨寺!

さすが、「縁起だるま発祥の寺」と名乗っているだけあって、いきなりズゴーンと超巨大なだるま看板が設置されています。左の方に見えているタクシーと比べると巨大さがよく分かりますな。すごいぞ!

それではお寺に向かいましょう。両側に灯籠がならぶ道を歩いていくと……。

まずは途中に、昨年使用した古いだるまやお札を納める場所がありました。

ここが「納め所」ってヤツですかね。プレハブ的な建物の中に、このように使用済みだるまがギッシリと詰め込まれています。


おおうっ、こりゃまた結構大ざっぱに積み上げられていますな

反対側にもスドドドーッと、雪崩が起きそうなほど大量のだるまたちが!

中には、こんな悲惨な状態になっちゃってるだるまもありました。カワイソウニ……


まあ、ここに納めた後はお祓いでもしてボワーッと焼いちゃうだけだから、どんな状態だろうが別にいいっちゃいいんでしょうけど……。

あと、ドーンと積み上がっている一番下にちょこんと置いていくのって心理的にイヤなもんなのか、来る人来る人、みんな積み上がった山の一番上の方にだるま全力投球して放り投げてくんですよね。……縁起物なのに投げちゃっていいのかな!?

……と思いつつも、だるまを投げるのってちょっと楽しそうなんですよ。ボクは去年だるまを買ってないので何も納めることは出来ませんでしたが、投げてみたかったなぁ。

 

人があんまりいない……!?

さて、こちらが少林山達磨寺への入口です。

長ーい階段をトコトコ上っていくと、だるま市の会場である境内に出るわけです。

おおっ! やってますねー、だるま市! しかし……、あんまり人がいないような。

お寺の方を見ても、人はぼちぼちいる程度。

まあ時刻が午前2時30分だということを踏まえると「深夜なのにお寺にこんな人がいるなんて!」という見方も出来ますが、ボクの中では深夜のお寺に人がごったがえしていて、年末年始のアメ横級にワッショイワッショイのラッセラーな賑わいを見せているハズ! と勝手に思い込んでたもんで……。

まさか大半の屋台がすでに閉まっちゃってようとは。

そして、人がこんなにいないとは……。

だるま売りのおっちゃん曰く。

……とのこと。お客さんは普通昼間とかに来るんですって。だったらオールナイトでやる必要ないんじゃ? ましてや平日の深夜になんかやらなくても……。

お祭りにはこういう様式美も必要なんでしょうね。だるま業者さんたちにとっては、年明けにここで夜通し過ごすということ自体が縁起物みたいなモンらしいです。

だからこのように、いわゆる縁日でよく見る食べ物などの屋台はほとんど閉まっちゃってるものの、だるま屋さんたちは気合いで夜通し売り続けているということなので、とりあえず一通り会場内を見ていきましょうか。

いやあ売ってますね、だるま。さっきの「納め所」とほとんど変わらない雰囲気でドーンと積み上げられてますが、もちろんこっちは新品ピッカピカのだるまですよ。

売り物のだるま以外にも、さすが「達磨寺」という名前だけあって、こんな巨大なボスキャラ級のだるまも設置されています。なーんかひょうきんな面構えですね。

こんな細かい看板もだるま。しかし手も足も出ていないというのだるまの大きな特徴のひとつだと思ってましたが、このだるまはバッチリ手が生えちゃってますね。

願掛けの定番、絵馬のデザインも……。

当然だるま! いやあ、いいなこの絵馬。絵馬がだるまで、だるまが絵馬で……その絵馬に願い事を書いたら実に御利益ありそうです。

そして、お寺の中にはこんな像が! だるまのモデルになったといわれている達磨大使ですね。

それにしても、だるまのモデルだけあって非常にだるまっぽい顔というか……実に味わい深い、たまらなくナイスなフェイスをしておられます。


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