まさに大自然とともに呼吸しながらの一刀彫への挑戦となった。気持ち的には仏像でも彫っているほど雄大な心持ちになれたが、現実として彫っているのは事務用品のセロテープスタンドだ。
公園で彫っている間、一番おそれていたのが「何彫ってるんですか」と、通りすがりの人に聞かれることだった。もし聞かれたら、セロテープスタンドなんて答えるとめんどくさくなるだけだし、仏像と答えても同じことになりそうなので、「妖怪像です!」と答えようと心に決めていたのだが、無事聞かれることは無かった。平安時代の仏師並みの気迫が出ていて、話しかけられなかったのかもしれない。もしくは公園でノミと木づち持ってる人とか怪しすぎて近寄れなかったのかも知れない。 |