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土曜ワイド工場
 
文字を書くプロ、その実力は?


色々な文字を書いてもらいましたよ

「筆耕」という職業をご存知だろうか。色々なイベントや、あらたまった書類などで、筆の文字を書くプロフェッショナルである。

「書道家」が自分の感性に従い文字を書く芸術家ならば、「筆耕」は依頼主の要求に応える職人と言えるだろう。

今回は、筆耕の方にお仕事を語ってもらいました。
もちろん、筆文字もいっぱい書いてもらいましたよ!

斎藤 充博



1日に120通、宛名を書く

今回話を聞くのは、筆耕の道口(どうぐち)久美子さん。大学を卒業後、書道の専門学校を経て筆耕会社(そんな会社があるんですね)に就職。
現在は都内の結婚式場で筆耕のお仕事をしている。


どことなく和風で、やわらかい感じのする道口さん。筆っぽい、とも言えるかもしれない

---普段はどんなものを書いているんでしょうか。「今は結婚式場で働いているので、結婚式の招待状が多いですね。 あと結納の目録とか。 ほかにも、胸に付ける胸章の文字を書いたりしています。筆耕会社にいた時は、封筒の宛名書きばっかりやっていました。賞状を書くのはだいぶ年配の方の仕事です。レベルが高い人の仕事ですね。」


インタビューって緊張しますね

「封筒の宛名書きは、1日に100枚くらい書きました。最高で120枚くらいですかね。1日中、ずーっと書いているって感じです。 ご飯とかの時間以外は全部書いている、みたいな。」


住所描くのはやっぱり大変だ。イラストの中に書くだけでいやになった。
しかも字を間違えると「郵便物が届かない」なんてこともありえる。責任重大な仕事

---それってすごく大変そう!どうやってやっているんですか?
家に持ち帰ってやることも多くて…そういう時は、ロックをかけながらやっています。音楽聴きながらだと、速く文字が書けるんですよ!

かなり激しいロックを聴くらしい。道口さんみたいにおっとりした人がロックにガンガンのっている様子が想像がつかない。むりやりイラストにしたらなにかわかるだろうか。


はげしいロックにノっている道口さんを描くだけ描いてみたけれど、やっぱり想像つかなかった

 

顧客好みの文字を書ける人で、チームを組む

---筆耕をやる上で気をつけていることはありますか?

とにかく正確に文字を書くのが重要ですね。個性は出さない。ただし、そうはいっても難しいところがあって…大きな仕事だと、何人かで手分けして書くことがあるんですが、『似た文字を書く人』とか『顧客好みの文字を書ける人』でチームを編成して書くこともあります

なんでも、みんなで書いて大量に納品した後で、「ある特定の人だけが書いた文字」だけにクレームが来てしまうケースがあるとのこと。「似ている字を書く人」を集めるのは、そうしたトラブルを事前に防ぐためだそうだ。筆耕に求められているレベルは高い。そして筆耕の中でも似た字を書く人同士は、なんとなく性格も似ていて仲良くなれるんじゃないだろうか。クレームを心配すると同時に、社内の人間関係まで気になってくる。


まあ、そうそうあることではないそうですが

インタビュー中に何度も「個性は出さない」「クセはいらない」「正確な文字を」という言葉が出てきた。ぼくもこうしてデイリーポータルにイラスト入りの記事を書かせてもらっているが、僕の絵や字は、自分自身のクセを煮詰めて煮こごりを作ったみたいなようなものだ。なので、こういう職人的な世界にはとてもあこがれる。


基本は職人さんなのだ

道口さんは会社での仕事の他に、アートの祭典、デザインフェスタにも毎回出展している
デザインフェスタでは、お客さんが書いて欲しい言葉をその場で書くパフォーマンスをしている。これは最近再結成した、ユニコーンファンの人ですな

インタビューはこの辺で。次のページでは実際に文字を書いてもらいますよ!


プロの技が炸裂するよ

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