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はっけんの水曜日
 
人面石を鑑賞しよう

こんな石をいっぱい見たい!

昔から、「変な形をした石」とか「変な形をした木」などが妙に気になっている。

自然の作る物ってやっぱり不思議なもんで、時々ミョーに味のあるい〜い感じの石や木が見つかったりするのだ。

そんな「変な石」、特に見ようによっては人の顔に見えてくる「人面石」を大量に集めている人がいると聞きつけたので、ちょっと行ってみることにした。

(絵と文:北村ヂン


石を売って生活出来たら、さぞかし楽しかろう

僕が「変な形の石」に興味を持ち始めたきっかけはなんだったっけな、と考えると、やはりつげ義春の漫画『無能の人』じゃないかと思う。

その漫画の中に「石売り」という職業が登場する。河原で“いい形”の石を拾い集めて売るという商売なのだ。

まあ基本的には「石を売るなんて、ダメなヤツのやること」みたいな描かれ方をしているのだけれど、元手ゼロではじめられる上に、毎日河原を散歩しながら石を探して回るなんて、なんとも優雅で自由な感じがして、密かに「いつかやってみたいな……」と思っていた。どう考えても生活成り立たないだろうけど。


こんな生活、ちょっとしてみたい

もちろん、大理石とか花崗岩みたいな石を売る石材店みたいなところは普通にあるけど、僕がやりたいのはそっち系ではない。

なんちゅうか、鑑定に出してもビタイチ値がつかないけれど、観る人が観たら「う〜ん、ナイスですねッ!」とうなってしまうような実にい〜い感じの形をした石、そんな石が好きなのだ。

……ということで、そんな“いい石”をたくさん見たいと思い、埼玉県の秩父にあるという、いい感じの石を大量にコレクションしている人の作った博物館に行くことに。

おっ、あったあった、もう名前が全てを表している「珍石館」! 読んで字のごとく“珍なる石”がしこたま展示されているという博物館だ。うわーっ、楽しそう!

……寿司・うなぎ・天ぷら屋さんと併設されてるというのが若干気になるけど。

ほい、こちらが入り口。さっきの看板には「珍石館」と書いてあったけど、こっちには「秩父珍石館」「人面石館」の文字が……。

もう名前からしてブレまくっている感じが、珍スポットの予感をプンプンに放っていますよ!

ちなみにこんな貼り紙も……。

多分、寿司・うなぎ・天ぷら屋さんは家族の方がやってるんでしょうね。

 

嗚呼、魅惑的な珍石の数々

それでは早速入ってみることに。

珍石に囲まれておっちゃんが登場!

もう入り口から、い〜い感じの石がいっぱい! そしてそれ以上にい〜い味を出しているおっちゃんが出迎えてくれた。

いきなり説明をはじめるおっちゃん

「入場料なんてどうでもいい!」とばかりに、嬉々としながら石の説明をしはじめたおっちゃん。本当に石が好きなんだろうな。

さて、この「珍石館」には、それはそれはたくさんの変わった石があるんですが、中でも館長のおっちゃんが力を入れているのが「人面石」。

ま、こんな感じで、見ようによっては人の顔に見える石のことですね。

これなんかすごく味がある、かわいい顔だ。

ほっかむりをした女性の横顔。

ちなみにこの手ぬぐいの下には化石が見えているらしく、それはそれで価値があるみたいなんですが、

「そんな化石よりも顔っぽく見えることの方が重要」

とのことで、ほっかむりで隠しちゃってるんだそうで。……いやあ、ポリシーが一貫してる!

珍しい人面石の中でもひときわ珍品なのがコレ!

なんと涙を流す人面石。

目になっている穴が裏側まで突き抜けて、中に水がたまるようになっているんだとか。



しっかし、普通「涙を流す人面石」って聞いたら気持ち悪い物を想像するけど、こいつはホントにカワイイなぁ。

さて、こちらは人面石ではなく「亀石」(と、おっちゃんが呼んでいる)。

雨水などで溝が掘られていった結果、こんな亀の甲羅みたいな面白い形の石が出来上がったんだそうな。

と言うので、「それじゃせっかくだから」と腰掛けようとすると……

「亀石に腰掛けるならこれを持たなくちゃ」ということで竹の棒と、箱らしき物の入った風呂敷包みを手渡された。

「なんだコレ?」と思いながら、言われるがままにポーズを取ってみると

ああ、釣り竿と玉手箱……。浦島太郎ってことか。

つづいて、さらに大量の珍石&人面石が展示されている二階に向かいます!


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