遥か遠い南の島に、「おんな村」は実在した!
往年の川口浩探検隊シリーズをイメージした1行目で書いてみたが、実際に日本には「おんな村」という村が存在するのだ。思春期からいまだ抜け出せていない者としては、行くしかないだろう。
これまでも、ちんちんと聞いてついニヤニヤしてしまう自分にサヨナラしようとしたり、桃にパンツを履かせたりすることで自分改革を図ろうとしてきたが、今ひとつうまくいかなかった。おんな村への訪問は、そうした試みの総決算としても考えたい。
虎穴にいらずんば虎児を得ず。そういう覚悟で、おんな村を訪れてみました。
(text by 小野法師丸)
●早速オチを言います
遠い南国にあるという「おんな村」。「ザ・おんな村」と、意味なく定冠詞をつけると、響きの魅力がグッと増す。使命感にも似たものを抱いて実際に訪れてみたわけだ。
このテンションで引っ張り続けるのもつらいので、早速答えを言います。沖縄県・本当中部に「恩納村」という村があるというわけです。まあ、結構有名ですよね。ちなみに、オフィシャルな読み方は「おんなそん」。
漢字としても字が違うし、思春期の妄想が期待するような意味は全くない。
わかってる、それはわかってる。私が言いたいのはここからなのだ。
「オンナ」の文字が図案化された村章
恩納村は「おんな村」じゃないし、ましてや「女村」ではない。その現実を認めるところを新しいスタート地点としたいのだ。「おんな村!」と聞いて覚えたときめきは、事実を知ってあきらめに変わる。
しかしそこで夢を捨てず、もう一度考えてみたいのだ。でもやっぱり、おんな村じゃん、と。そこからが人間の想像力の働かせどころであるはずだ。
そんな私の気持ちを鼓舞するように、恩納村の村章は「オンナ」の文字をかっこよく図案化したもの。そう、ここは間違いなくオンナ村なのだ。
人間が新たな価値観を打ち立てようとするとき、葛藤が生じるのは世の常だ。現実と虚妄の間で揺れ動きながら村内をさまよう私の目に、一軒の居酒屋が飛び込んできた。
居酒屋「おんなまつり」である。
「おんな村」であることに加えて、「おんなまつり」。まつりと名乗るだけあって、祝祭的な官能性まで発動だ。どういうことだ、おんなまつりって。そこまで望んでいなかった分、リアクションにもためらいが生まれる。
おんな売店!
酒やたばこを販売している商店も、掲げているのは「おんな売店」。毛筆体でやわらかい雰囲気をかもし出しているのは意図的なのかどうなのか。
どうだろう、この感じ。ここはあくまで恩納村。それをわかった上でも、「おんな村」に感じたときめきはよみがえってくるのではないだろうか。