赤ベコが好きだ。
「○○が好きだ」という書き出しで始まるのも数回目だが、民芸品のことをこのように声高に宣言する日が来るとは思わなかった。
とにかく、あの頭。小突くと上下にうなづきながら、右に左に漂うように揺れる、そのさまがなんともいえない、と昔から奴のファンだった。
そしてとうとう、その発祥の地、福島県は会津まで行ってきた。さぞや赤ベコだらけだろうと期待を込めつつ―。
(乙幡啓子)
旅番組のように民芸品を追って
まずは、赤ベコをよくご存じないという方のために。これが赤ベコです。今から頭を小突いてみます。
うはははは! と爆笑するほどでは全くないが、ユーモラスな動きで人を魅了する。
これが、福島県は会津地方の郷土玩具、赤ベコだ。その由来はというと、あるお堂を建立する際、絵馬から飛び出した赤牛が知り合いの牛どもを連れてきて、人々が材木を運ぶのを手伝ってくれたそうだ。その赤いめでたい牛を張り子玩具にしたのが赤ベコ。
さっそく会津に向けて出発だ。東京からは、新幹線で郡山まで1時間ほど、そして磐越西線に乗り換え、会津若松までまた1時間ほどで到着である。
郡山あたりから、お、赤いベコの気配。
1人でこの穴に向かって「わー!」とか「こんにちは!」とかは到底言えやしない、ふと見るとそばに赤いボタンが。押してみる。
赤ベコが音頭を歌ってくれた。いきなりけっこう大きな音で、ナイスなお出迎えありがとう。
でも後でタクシーの運転手さんに聞いたところ、赤ベコ音頭というのはもともとは存在しないようだ。コレ用に作ったということか?赤ベコは答えない。
送電線のふもとに
さて次はこれまたナイスな赤ベコスポットである。事前にネットで調べて、今回どうしても行ってみたかったところだ。 「運転手さん、『赤ベコ公園ってわかりますー?」 「赤(あが)べゴ公園〜?」
番地を伝え、「そんな公園あっだかな〜?」と半信半疑の運転手さんとともに30分。いったん別の公園に着いてしまい、このあたりにお住まいの他の運転手さん(非番)にまで電話で聞いてくれたりして、親切な運転手さん、どうもありがとうございます。
そしてたどり着いた公園がこれだ。
右端には、見えないが送電線がでんと立っとります。
「赤ベコ公園」。どうよこのたたずまい。平野部の、ある集落の中にぽつんとある。突如として現れた!とドラクエっぽく言いたくなる。
はぁー、赤ベコ赤ベコ。どっちを向いても赤ベコだ。と大騒ぎして写真は運転手さんに撮ってもらいました。「東京から取材?んじゃ赤ベコの生まれた歴史や背景とか取材すんだろうね」と言われてたのに、実はこんな取材で申し訳ない。
さて、赤ベコ三昧も終えたし、東京に戻るとするか。