この南池袋の石蔵を見て、私は改めて東京都心の蔵が置かれている現状を知らされた。東京都心の蔵は、今まさに崖っぷち。現在進行形で絶滅しつつある。
無くなりゆくものに情を感じるのは人の常。他にもこのような都心に生きる蔵は無いものか、ちょっと探してみたくなった。
都心という言葉は若干あいまいだが、ここでは、そう、山手線沿線およびその内部の地域と定義しよう。この範囲内において、蔵を探してみようと思う。
西新宿にも蔵はあった
蔵探しを始めた私は、日頃から意識的に路地へと目を配らせるようになった。細い路地の奥など、蔵のありそうなところをいちいち眺めながら、町を歩くようになった。
そんなある日、西新宿で自転車を走らせていると建物の隙間に灰色の古い建造物が見えた。もしやと思って引き返してみると、やっぱりそれは蔵だった。 |