岩手の秋ははやいので、山の樹々はいそいそと色づきはじめ、もうすぐ鮮やかな季節がやってきます。そんな秋の色たちを朱肉にして、ハンコをつきたいなって思ったんです。
(櫻田 智也)
なんだかすみません
「色のあるものなら、使おうと思えばなんでも朱肉がわりに使えるんじゃないか」という思いつきにむりやり動機づけをしようとしたら、なんだかおかしな導入になってしまいました。すみません。
これはふつうの朱肉です
秋色をさがして
小さい秋をさがしておもてを歩いてみる。
すこしだけ茜色
なつかしい
落ちていた果実を拾ってむいてみる。とてもなつかしい。ほおずきといえば、子供のころに実が柔らかくなるまで揉んで、お尻の部分
お尻の部分
から皮がやぶれないように中身をきれいにだしたあと、皮を口に入れて舌で鳴らすという遊びがあったのだが、あれは全国共通のことなのだろうか。 なんて疑問に思って広辞苑をひいたら、ちゃんとそういうものだと書いてあった。 皮をやぶらずに中身をすべてだすのは案外難しい。やっとうまく鳴らせたほおずきは口の中でブゥイ〜という。苦労のわりにぜんぜん嬉しくない音色なのだ。
とにかく、ほおずきの色は秋の色だ。
ほかにも、秋
むかしよく食べたオンコの実。甘くてぬるっとする ※ 種には毒があるのでご注意ください!
葉といっしょに、果実も真っ赤に
ふと気をとめれば、いつのまにか通りは秋の街並み。 記事中盤以降の展開が地味にひどいので、前半で集中的にきれいな感じの写真を使ってみた。
ほかにも、季節ならではのこんな風景が。
冬に備えストーブの煙突をとりつける男性 秋の風物詩、だろうか
秋は朱肉になるのか
さて、秋だなあと歩いてばかりでは仕方ない。秋色のハンコをつくために、花や木の実には朱肉になってもらわないといけないのだ。 というわけで、秋の色たちを持ち帰り、朱肉として使えるか検討してみた。
いや、検討っていっても、つぶすだけですが
つぶすための道具がないかとさがしたら、ハンコのお尻の部分がちょうどよかった。ライフハック! と思ったが、たぶん違う。 そんなわけで、さっそく持ち帰ったほおずきの実をつぶしてみた。
どうだろう。まあ、どうもこうもないのだが、雰囲気ハンコはつけそうだ。 そう思って、楽観的に試してみたものの、
ありゃ
ノートが濡れただけだった。ほほう。そうですか。そうなりますか。えー!?
つぶしただけじゃダメなのか
色のあるものであればなんでも朱肉になるさと簡単に考えていただけに、この事態はピンチである。 ていうか、簡単に考えすぎか。 市販の朱肉とつぶしたほおずきがどう違うのか(いや、ぜんぜん違うけど)、朱肉をさわってその感じを確かめてみる。
なるほど朱肉のインクは油性ということだろうか。
油性ってそういうことじゃないという気もするが、とりあえず油を加えてみた。あと余計な水分をどうにかするため、使いかけの寒天の粉があったので少しふりかけた。寒天粉は吸水・保水性が非常によいのだ。
なんだなんだ。ちょっとマシになったぞ。ほんとかよ!?