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ちしきの金曜日
 
世界のOTAKUのもてなし方

秋葉原、今日も観光客がいっぱい。

「おたく=OTAKUは既に英語」と言われて久しいですね。「オタクの街」とも「趣都」とも呼ばれる秋葉原はたしかに他の街より外国人の姿が目立つ立派な観光都市。もちろん新宿や渋谷にも外国人はいるが、秋葉原にいる人らは観光客オーラをテカテカ放っている。

とはいえ、海外から来た彼らは一体どういう所には行ってるんだろう?秋葉原で外国人相手のガイドをしている、という人の話を友人から聞いた。OTAKUならずとも海外から来たお客様の接待に便利なお話をうかがってきました。

大坪ケムタ



アダルトは世界共通、でもコスプレはイマイチ

今回話をうかがったのはアキバ系のタレント兼翻訳・通訳などもなさっている玄関マットさん。今35歳で、13歳から27歳までの間カナダに住んでいたといういわゆる帰国子女。現在アキバ発電波パンクユニット・FICEなどの活動にも関わってらっしゃいます。翻訳・通訳としてはガンダム関連の書籍から、最近話題になったリーマンブラザーズ・メリルリンチなどカタめのお仕事までされてるのだとか。

「見てのとおりオタクですけどねー」とおっしゃるけども、思春期ど真ん中を北米で過ごしてるだけあって会話のテンポや身振り手振りが日本人離れしてます。オタクはオタクでも映画『ワイルドスピード』とかに出てきそうな「メカに強いアジア系キャラ」って感じだ。と言ったら「あと『キャノンボールラン』とかのね!」と返された。さすがだ。


腕組みが絵になるのが外国育ちぽい。

「ガイドといってもお金とってやってるわけじゃなくて、友人や仕事関係の人が来た時に案内してるだけなんですけどね」とのことだが、毎年北米からやってくる10人近くの外国人をあちこち案内してるそう。

ガイドの話に入る前に海外に居た頃の話を聞いたのだけど、子供のころオタク友達が増えていった時代の話がいきなり興味深い。


「カナダに移り住んだのが13歳の時。日本に住んでる時はキン肉マンやドラゴンボール読んでる普通のアニメ・マンガ好きだったんですよ」

−−いわゆるジャンプ全盛期ですからね。

「でも、そのくらいの歳になるとふつう男の子って車とかスポーツに趣味が向かいだすじゃないですか?でもそこで引っ越したもんだから、英語が出来ないからしばらくは友達も出来ないし、家にいることが多くなっちゃってアニメやゲームにどっぷり浸かったまんまで成長しちゃったんです」

−−言葉の壁で引きこもり状態というか(笑)。

「でもあちらでも『ロボテック』*1あたりから日本のアニメが話題になり始めて、同人グループが増え始めたんです。自分らのサークルでも『きまぐれオレンジロード』とか『天地無用』に翻訳つけたりして。まだジャパニメーションとかの言葉がないころですよね」

−−当然ネットもないし。

「BBS(パソコン通信の電子掲示板)はありましたけど、そういう所で『どこのサークルには何の作品のリストがある』とか聞くと郵送でやりとりしたりコンベンションや上映会の時に渡したりして‥アナログですよねー。日本のアニメ好きになるにもずいぶん敷居が高かったですよ」

*1 ロボテック:85年にアメリカで放送された『超時空要塞マクロス』など日本のアニメ3作の翻訳版。設定やセリフはかなり変更されている。


うーん、自分も1歳違いで地方育ちだからよく分かる。インディーズバンドのレコードとかスゲェ遠い店まで行かないとなかったんだよな、今はamazonさえあればいいからイイよなぁ‥話がズレました。

当時の友人やあちらのオタク系コンベンションなどのイベンターが日本に来るたびにガイドしているマットさん。とはいえやはりあちらのOTAKUがまず行きたがるのは「AKIHABARA」。


世界のある趣向の人にとっては憧れの街!

OTAKUならば細かい差はあれ、日米問わず同じ趣味を持つんじゃないの?と思えるが、多少は人種や土地柄的な部分からくる違いもあるのだとか。とはいえ、秋葉原といえはやっぱりまずはアレ。


「ベタですけどメイド喫茶は行きたがりますね。メイド自体は海外のものですけど、実際雇ってる人なんかいませんしね。だから自分の知ってる手堅い所にまずは連れて行きますね。あと見たがるのはフィギュアですね」

−−やっぱりその辺は日本人と変わらないですねぇ。

「それも2タイプあって、ひとつはマジンガーZやゴジラみたいなクラシックなもの目当て。もうひとつが美少女フィギュア(笑)。これはもう向こうではまず売ってないんです。逆立ちしても買えない!」

−−アメリカなんかはアダルトなものには厳しいですからね。過激なものもあるけど、規制もその分厳しくて子供には絶対見れない場所にしかない。

「美少女フィギュアって露出度高いの多いですからねー。アメリカでも売ってる店はあるんだけど、悪い場所にあったりするんですよね(笑)。あと欲しがるのっていうとPCゲームですかね」

−−それもアダルトな?

「そうですねぇ。アッチだと手に入らないんですよ。あれこそ周りに見つかったら大変なことになりますよね」

−−でも日本語出来ないと大変ですよね。テキスト多いし。

「だから皆頑張って習うんですよ(笑)」

−−そりゃ「HENTAI」も英語になるなぁ‥。


外国人が「メイドだー!」てのも妙な気がする。

「でも外国人はコスプレってあんまり興味ないんですよね。ひとつにはもともとハロウィンとかの文化があるのでそこまで非日常として捉えてないんじゃないでしょうか」

−−たしかに洋服のこだわりって日本人ほどアメリカ人は無さそうですね。あくまでイメージですけど。

「あと日本人って頭で楽しむのが好きじゃないですか?『設定がいい!』とか。アメリカ人はストレートなものを好むのでピンと来ないんですよ。それにゴスロリの子みたいにコスプレ的なものを普段着にするって発想はもっとないですよね」

−−服装含めてフェチ的なもんは日本とヨーロッパの方が近そうですもんね‥。


などなど、まずはOTAKU方面中心で聞いてみたけども、まだあちらのガイドブックだと「家電の街」というのもちゃんと書いてあるそうなので、ちゃんと家電を買う人も多いのだとか。まだ「世界のソニー」「明るいナショナル」「技術の東芝がお送りします」的なイメージは健在のよう。ナショナルなくなっちゃったけども。

それにマットさん曰く秋葉原は「他に比べて免税店や外国人の店員が多い」のだとか。そう言われると秋葉原って英語の看板が多いのもひとつの特徴でもある。OTAKUの人でなくても外国人にとって楽しみやすい街なんですな。


一部分だけ見ると海外の電気街のよう
注意書きもちゃんと数カ国語だったり

「秋葉原以外でリクエストが多い場所というと渋谷・新宿ですかね」

−−さすがに池袋とか中野はないですか。

「中野なんか連れて行くと喜ばれますけどね。池袋は『腐女子ロード』なんて言われてますけど、海外では日本ほど腐女子はいないんですよ。オタク自体が女性が少ないですね、日本の比率に比べると。腐女子がいないのは『男装文化』が少ないからじゃないですかね。日本だと宝塚とかあるじゃないですか」

−−なるほど。では海外の皆さんが実際日本に来てみての印象はどう言われます?

「思ったより日本の街並みはマンガの世界と離れてる、ってのはがっかりされますね。来てみるとそれほどオリエンタルじゃないな、アメリカナイズされてるなって。さすがにサムライはいないまでもゲイシャはいるんじゃないか?くらいは本気で思ってますからね。期待してるのはそういう昔の日本のイメージと、あとマンガやアニメのイメージですね」

−−髪がピンクとか青の女子高生がゴロゴロいるんでは?とか。

「極端な話、そういう事です(笑)。マンガそのままであってほしい、って期待があるんじゃないですかね。でも黒髪にも感動されますよ。あっちは人種がいろいろいますから、全員黒髪で同じ肌の色で、ってだけでもなかなか見れないですから」


そんな予想以上なオリエンタルへの期待感、それと予想以上に喜ばれるものは?についてのお話に続きます!


 

 
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