■どうしてナマコが手に入ったかと言うと
私事ですが、7月末に父が亡くなってしまいました。父は千葉県鴨川市で干物を作って売っていました。その店、松本商店では干物の他に生きている海鮮(アワビ、伊勢エビ、サザエ、ハマグリなど)も売っていました。
店内と店の裏には大きな「いけす」があります。海からくみ上げた海水が満たされ、父曰く、「うちは生き物にちゃんとエサをやってる。だから内臓がパンパンに太ってんだ。」という自慢の海鮮達が売られていました。
1年365日、40年間。休まずに働き続けた父はある日突然死んでしまいました。働き過ぎ。残されたのは店と、売り物と、母。母は店を閉める決意をし、在庫を売り尽くそうと頑張りました。
結果、まず生き物が全部売れ、いけすが不要になりました。不要になったいけす(店の裏にあるいけす)のポンプを止め、海水を抜くと、大きないけすの底にナマコが何匹、何10匹と見つかりました。
なまこは海水を口から取り込み、有機物(糞やエサの食べ残し)を取り込んで海水を綺麗にしてくれます。
「よほど水質を気にしてたんだな・・・・」
父がどれほどいけすの水質を気にしていたか、その大量のナマコたちを見て判りました。生き物を売るのは神経を使う仕事です。ウッカリ管理を怠ると1ヶ月分の儲けなんて一気に飛んでしまう仕事です。そりゃ胃に穴が開くはずです。
そのナマコを見て、僕は何も言えませんでした。 |