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フェティッシュの火曜日
 
桐タンスってこんなに手間がかかってたのか!

知ってしまったら今までのようには扱えない

ここでやっと組み立ての工程だ。といってももう4ページ目、誌面も尽きる。急がねば。

では特に心惹かれた、桐タンスの特質のひとつを支える重要な箇所について、皆さんにぜひ知って帰ってもらおう(モデルはふたたび朝倉家具さんに戻ります)。


工程ごとにわかれた作業場。作業音だけが響く、暑い夏の午後。

その工程とは「引き出し」。引き出しの前面の板、「前板」は外枠よりも大きめに作り、スキマのできないよう職人さんが少しづつ削って大きさを合わせていく。「少しづつ」というところ、覚えておいてください。

はめてみる。
記事冒頭写真の器具は、吸盤でした。密封性が高いのに取っ手をまだつけてないので、これがないと引き出せない。
Plan(プラン)。
Do(ドゥー)。合わない部分を鉋かけ。
See(シー)。少しづつ、少しづつ。長年の経験で頃合いを計る。
これくらい「少しづつ」である。以降、左上写真から繰り返し。

しばらくこの作業の様子を見守っていたのだが、本当に何度も、あらゆる箇所に少しづつ手を入れては確認していく。人の手が、ここでもまた無数に積み重なる。

もちろんこの作業、見た目を美しくするのみに腐心しての作業ではない。ここまでぎりぎりの仕立てをすることにより、タンスの密封性が増し、内部の環境が一定に保たれやすい。ということは「燃えにくい」ということでもあるし、「防湿性が高い」ということにもつながる。


密封性が高いので、ひとつ引き出しを閉めると他が飛び出す。押さえるとまた他が飛び出す。うっかりしているとコントが始まってしまう。
火災にあっても燃えにくく、これは実際火災に遭った桐タンス。中身は無事だったそうな(ひどい燃え方だとさすがに耐え難いですが)。

こうやって出来た桐タンスの数々。意識をあらたにする気持ちで、しばしご覧下さい。


静謐さが漂う。(朝倉家具)

これはかの紀宮様(現・黒田清子さん)に献上したものと同種だそうだ。嫁入り家具。(茂野タンス店)
平行に木目の走る柾目でなく、杢(もく)部を使ったこんな猛々しい桐タンスもあるのだ。(加茂桐タンス)

なかなか普段見ることのできない現場を訪れるのは愉快だ。しかもそこに、今回のような予期せぬ驚きが多数埋まっていると、なおさら興奮度合いも高くなる。そして人に教えたくてたまらなくなる。

桐家具のいいところは、本文で紹介したものの他にもまだまだあって、例えば「軽量」だとか「腐りにくい」「3回以上洗い直し(再生)できるでの100年はもつ」など挙げられるのだが、私の役目としてはこれら実際に見てきた驚きを少しでも伝えられれば、と思う。

照れくさいが最後にもう一度。「日本人は尊敬に値する」。今回はほぼ冗談抜きでお送りしました。

■加茂箪笥協同組合の皆様、ありがとうございました。
加茂桐箪笥協同組合 Webサイト
https://www.chuokai-niigata.or.jp/kiritansu/

!下にもお知らせがあります。
今回取材に同行いただいた、平社氏・吉尾氏の参加するデザイン・エキシビジョン「GIBA(ジバ)」。そのGIBAと、加茂箪笥協同組合とのコラボレーションブランド「PAULOWNIA」の展示が、ちょうど本日から五反田にて開催されます。下の写真はその「PAULOWNIA」の一部。


GIBA 吉尾元貴氏作品 (写真 太田拓実)
同 平社直樹氏作品 (写真 太田拓実)

同 清水慶太氏作品 (写真 太田拓実)

伝統的な桐タンスのイメージとはまた違う、斬新な解釈で送る展示会です。この機会に「桐の感触」を確かめてみませんか。

「JAPAN DESIGN in Milano Salone 2008 Vol.8 GIBA」
8月19日より24日まで 東京・五反田 東京デザインセンターにて

東京デザインセンターによる展覧会情報は下記の通り
https://www.design-center.co.jp/events/index.html

PAULOWNIA Webサイト
https://paulownia-interiors.com/
GIBA Webサイト
https://www.giba.jp/


 
 
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