金があるわけでもなくパッとしない人生を送っていると、どうしても輝かしい生活に憧れてしまう。
なんとかしたいものだ、という思いからミラーボールを買った。
日常にミラーボールを導入してキラキラさせたなら、それは輝かしい日々となるんじゃないだろうか。
(text by 大北 栄人 assited by 石川大樹 )
直径20cmか30cmか
20cmにしようか30cmにしようかと悩んだが「生活を変えるのだ!」と決意し、えいやっと30cmのミラーボールを買った。届いた。でかい。重い。何より財布が痛い。
しかし「一生もの」だと思えば決して高くはない、と自分に言い聞かせ納得することにした(この翌日早くもミラーが割れるのだが…)。
頭上に吊るします
やっぱり吊るそう。頭の上に吊るして生活をいつでもピカピカしたものにしよう。
何か釣竿みたいなもので吊るせば…と考えていたが重さが2キロ近くあるのが誤算だった。しっかりした装置を作るためにまた出費。図面を引いたり慣れないことに時間がかかる。輝ける日々は簡単には手に入らない。
木ねじを1本ドライバーで締めただけで手に水ぶくれができてびっくりした。犬小屋とか作ったら死んでしまうんじゃないか、と悩む。
工作で一日をつぶした翌日、出かける用があった。よく晴れていたのでミラーボール日和だと思い、背負っていった。
輝ける一日が始まった
輝かしい日々を送ろうという前向きな気持ちからか、勤労意欲も知らずとわいてきたのだろうか、街にあったアルバイト募集の看板に自然と目がとまる。
牛丼作りか、美味しそうだ。まかないも楽しみとなるだろう。いいな。このバイトいいな。いやこの店がいいな。何だかとても魅力的だ。
なんで魅力的か分かった。日光がミラーボールに反射し、目の前の牛丼屋が今、とても輝かしいのだ。
打ち合わせに出かけます
すれ違いざま女子高生に「すご!」と声をかけられる。すごくない。これを日常にするのだ。
今日は当サイトライター石川さんの打ち合わせに同行する予定があった。取材先の方とは石川さんも初対面であるらしい。
外したほうがいいかと思ったが、遅刻気味でばたばたしてたらそのまま入ってしまった。後にはひけず、こういう仕事なんです、と言ったら、なるほどねー、と柔らかい顔をしてくれた。世の中けっこう平和でありがたい。