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ひらめきの月曜日
 
油吸い選手権

話は単純じゃなかった

まずは油をきっちり20グラム計るところから始めようと思う。同じ量の油で、焼く前と後のグラム数をチェックし、より重量が増えた食材が「油吸い王」の称号を得るのだ。


だいたい大さじ2杯強、といったところか
それをフライパンへ。

まずは優勝候補のナスからいってみよう。ここで出た数値が目安となり、あとに続く各選手たちのモチベーションを左右するだけあって、ここはひとつ慎重な計測を試みたい。

果たして、何グラムほど増えるのかしらん。


焼く前。30グラム。
焼いた後。30グラム。

…目を疑うとはこのことだ。

これほど油をデップリと吸い、箸で持ち上げてさえ「重くなったなー」と感じられるナスが、なぜ焼く前と後で同じ重量なのか。正直うろたえた。

もしかして。いや、もしかしなくても、これは水分が飛んでしまったということなのだろう。それしか考えられまい。油にばかり目が行って、すっかり水分のことなど忘れていた。

こういう時ほどおのれの馬鹿さ加減が身に染みることはない。どうしよう。この計測方法ではキングなど決められないではないか。


仕方なく、残った油を計量。

油はきっちり10グラム減っていた。ということは、ナスは10グラムの水分を放出したことになる。

正直もう、なにがなにやらだ。


しいたけ。5グラム → 4グラムに。
エリンギ。17.5グラムのまま変わらず。

いつも「君たちは海綿体か?」と思ってしまうほど油を吸っていたキノコ類も、ほぼナスと同様の結果だった。残った油も計ったが、どちらも少し減ったのみ。

ジャガイモに至っては、重量が27.5グラムが20グラムにまで減る始末。


それほど水分が多かったということなのか?

他に用意したカブ、豆腐、はんぺんといった食材も、これといって目立った数値の変化は見られなかった。

どうやら、こういう方式で油の吸い込みを調べるためには水分が邪魔なようである。焼かずに油だけを吸わせようかとも思ったが、そんなもの食べられない。

「○○グラムの油を吸った△△が優勝でーす!」という具合に記事を締めたかったのに無理だったか、と首をうなだれかけた時、一筋の光明が見えた。

 

キング、現る

問題は水分だ。ならば、最初から水分のない食材を選べばいいだけの話だろう。


こういうことですよね。

油が何グラム減って、だけど食材の重さは増えてなくて、何故ならばそれは水分が飛んだからで…なんて面倒臭い話はもうヤメだ。

目方がドーンと増えて、それでワーッと驚く。それでいいじゃないか。いいことにしましょうよ。


食パンにそれほど水分はないだろう。
ほぼ10グラムにカット。
焼けました。というか、これは揚げパンですな。
わー、20グラムになったよ!

目論見通りである。水分の少ない食パンは、油を吸った分だけきっちり増量してくれた。重さが倍になった。

…油吸い王は、食パンです。

すっきりしません

このモヤモヤはなんだ。

「油をたくさん吸い込む食材はなんだろう?」という素朴な疑問を解決したかっただけなのに、どうしてこんなことになったのか。なまじ計量などするからいけないのか。

とにかく今回の優勝は食パンになった。暫定王者と呼びたくなる疑惑の選定方法ではあるが、もともと実力はあったのだ。胸を張ってキングを名乗って欲しい。恥じることは何もない。

ちなみに油を思うさま吸った全ての食材は、どれもこれもおいしくなりました。抜けた水分を油が補って余りある結果と言えましょう。

なんだかんだ言っても油はおいしいな、と。

 
 
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